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Encounter_12
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身体にねっとりと熱い空気が纒わり付く様な感覚がして、気持ち悪くて目が覚める。
薄らと目を開くと、最初にたつみさんの部屋の天井が目に飛び込んだ。
またベッドで寝かせてもらってたらしい。
汗を沢山かいていて、べとべと服が肌に貼り付いている。
こんな風邪をひいたのは何時ぶりかな…
冷水でも良いからシャワーを借りたくて、ゆっくりと布団から足を出す。
「…!」
床に下ろそうとした時。
捻挫してる方の足が、湿布と包帯で固定されてるのが見えた。恐る恐る足を着いてみても、少し痛むだけで前ほどじゃない。
きっと、たつみさんが――
そこまで思いかけて、ふと、たつみさんとちゅーをした時の事を思い出す。
『雪』
たつみさんが優しく、たつみさんが付けてくれた俺の名前を呼んで…それから薬と水を、口付けで流し込んでくれて…
その瞬間を思い出すだけで、身体の奥の方が何だか痛む。
薬は俺の嫌いな薬では無かった。あの、無理矢理気持ち良くなったり、死にたくなるほど辛くなる薬じゃ無かったのは良かった…けど。
久しく体験しなかったたつみさんの優しい触れ方に、何故かあったかい気持ちになってしまって。俺はぶんぶんと頭を振ってその気持ちを振り払った。
きっと俺が駄々をこねるから。たつみさんはそんな事してくれたのかな。だったら、申し訳ないな…
とにかくたつみさんの所に行こうとして、ひょこひょこと足を引き摺って部屋を出る。
1度起きた時は朝だったのに、カーテンから差し込む光はもうオレンジ色だった。
「たつみ、さ……」
ふらふらとリビングを見て回るけど、たつみさんは何処にも居なかった。
…置いて、いかれたかな。
きっと俺が化け物だし、手の掛かる奴嫌になって、出ていっちゃったのかな…
…大丈夫。独りには慣れてる。
こんなに優しくしてもらって、これ以上何も望めない。
大丈夫、大丈夫。
寂しくなんかない。
俺はベッドには戻らずに、部屋の隅っこの、ソファの横の陰になってる所に座り込んだ。
やっぱり此処が落ち着くなぁ。
何も出来なくて迷惑ばかりかけてるのに、居座ってごめんなさい。
傷が治ったら直ぐにでも、出て行くから…
まだ熱が残ってるのか、起きてるとぐらぐらと頭が揺れるみたいで気持ち悪い。
…もう、何も考えたくない。
そのまま膝を抱えるようにして、いつものように、真っ暗な世界の中に閉じ篭った。
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