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Encounter_13
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「…よし、鍋にするか」
冬だからか割と安い白菜を手に取って、独りでそう頷いた。
あと何入れようか…と野菜コーナーを周りながら、俺は昼に調べた雪の事について、何度も思考を巡らせていた。
俺が調べたのは「人体改造 研究」という検索ワードだ。
勿論そんなものが天下のGoogle様の元で出回ってる訳が無い。知らないアニメのキャラクターが出てくるばかりで、無理やり調べても強引にくっ付けたとか、グロい画像ばかり出てきて。
「人体改造 施設」と変えて1番に出てきたその手の研究をする施設も、動物の遺伝子組み換えの物とかばかりだった。
あの人間と動物が完全に融合した様な…雪の様な"獣人"が生まれたという施設は、何処を探しても見当たらなかった。
――そう、「表」だったら、出てくる訳が無い。
だから俺は仕事用のパソコンで、裏サイトに入り込んだ。
そこは一般人には入れない、規制がかかるようなような違法なサイトがズラリと並ぶ。大抵はみみっちい違法サイトで、閉鎖したりすればこっちは干渉せずに済む程度の物ばかりだ。
本当は監視用なんだが、こちとら急ぎだ。使える物は使わせていただく。
色々と検索ワードを変えて検索してみると、「獣人」という検索結果の下の方。隠れる様に『錦研究所』というサイトがあるのを見つけた。
説明文には「完全会員制」とだけ書いてあり、いかにもな怪しさだ。
「これか……!?」
逸る気持ちを抑えてゆっくりとクリックすると、真っ黒なサイトに、ど真ん中にパスワード、会員番号を打ち込む為の白い入力欄だけがぽつんと置いてある質素なサイトだ。
入会の仕方等のものは一切書かれていない。
これはハッキングしてもらった方が早いか……
幸いハッカーで使える奴が居るから、明日にでも頼もう。
そう考えて、ぱたんとパソコンを閉じて。
それから買い物に来たはいいが…結局ずっとその研究所の事ばかり考えてしまっている。
サイトの説明文からは確証は掴めなかったが、雪の様子を見る限り明らかにあの研究所は黒だ。
もっと調べてやりたい所だが、雪はそっから逃げて来てるんだから、目を付けられても困る。
慎重に進めるか…
「くぁー……さみぃ……」
それにしても、異常に寒すぎる。
スーパーの外に出てみると、またちらほらと雪が降り始めていて。去年の1月ってこんなに雪降ったか?
ピーコートにマフラーで完全防寒してるものの、無意識に身体を縮こませてしまう程寒い。
帰り道、偶然雪を見かけた路地を通ってふと出会った時の事を思い出す。
雪の猫の姿は血だらけで、酷く冷えていて。
…こんな寒い街の中を、雪は……どのくらい走ったのだろう。
どれ程心細かっただろう。
にこりとも笑わない、あの隈が酷いくすんだ目で俺を見つめる雪を思うと胸が痛くなる。
今、ちゃんと寝られているだろうか。
――また独りで、泣けずに我慢してないか。
そう考えると何となく歩くスピードを上げて、急いで徒歩5分くらいの家を目指した。
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