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伝えたいこと
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ハルの教室前、大きな深呼吸をひとつ。
不安が渦巻く心を落ち着かせて、1歩、足を踏みしめた。
「あの……すみませーん」
「あー!イオリせんぱいだー!」
「あ、明くん」
教室の隅っこでぎゃいぎゃいとはしゃいでいた男子の中から金髪を揺らした明くんが前と同じように、ひらひら手を振って近付いてきた。
「はるひによーじっすか!」
「いや、今日はちがくて。実くんに用事があるんだけど居る?」
「みのるー?はるひとどっか行ってから見てない!」
ハルと……
じくじくと痛む胸を押さえながらそっか、と小さく呟く。
出直そう、昼休みにでももういっかい、来て……
「伊織せんぱい」
ぐいっと腕を掴まれ、驚いて明くんを見る
くらくらと眩しい金髪から覗く瞳が真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ、俺を映す。
「なんかあった?」
意外だった。
真面目な顔で向き合う彼が、思ったよりも大人びた顔立ちをしていることも、いま初めて気づいた。
問われた言葉に何も返せないでいる俺を明くんはそのまま引っ張って、廊下を突き進む。
「ちょ、あきらくん……」
「みのるのとこ!行こ!」
「え、でも実くんは今ハルと……」
自分で言っておきながら、その場面を想像してだんだんと暗くなる。
寄り添う二人、幸せそうに笑う二人、もしも、もしもそうなら……。
進む度に足が重くなる。
呪縛霊にでも捕まったのかもしれない。
なんて、お門違いな事を考えた。
そんな俺をずるずると引っ張っていた明くんは突然、ぴたりと立ち止まった。
「じゃーせんぱいは何をしたいんすか?」
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