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兄と弟
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「時に兄さん、」
びくっと体が跳ねる。ハルの手には既にコントローラーは握られておらず、俺の腕をガシリと掴んでいた。
「な、なーに?ハルちゃんっ」
語尾にハートが付く勢いで返事をする。けれどその返事を聞いてますます腕を掴む力が強まった。
ゲームは進んで第2ステージが始まっているのにそんなのお構いなしにハルが顔を近付ける。
「ちょ、ハルちゃん?ゲーム始まるんだけど……」
たらりと汗が流れる。冷や汗なのだろうか、兄ちゃんこんな状況初めてで怖いなぁ。
なんて思った瞬間、俺の背は床に付いていて、視界はくるりと反転した。それからハルの顔が現れて、俺の顔の横に白くて男特有のゴツゴツした綺麗な腕がトンッと置かれた。所謂床ドンってやつ?
「……さっき言ったよね、したいって」
「は?」
「ドラマ見てる時、イオ言ったじゃん」
その言葉にうーん……?と唸りながら記憶を少し遡ってみる。ドラマの時、さっきのことだよなぁ。
あの時ドラマのクライマックスでキスシーンがあって……それからハルが『したいと思う?』って。
「あ、」
確かに言ってた。そんで俺は訳も分からず頷いて……よく分からないけどしたいって言っちゃった。
「……あ、言いましたね」
「うん。だから、してあげようと思って。イオは俺の特別だから」
「とく、べつ……」
それはさっき"特別"について言った俺の見解だ。特別は確かに気分がいい、俺の大事な弟であるハルにそう言われることもすっごい嬉しい。けど、けど、なんかこの場合の特別って……嫌な予感しかしない。
「俺、案外うまいと思うよ」
「はは……ハルちゃんちょーっと待ってくんね?あのさ、さっきからしてあげるって、何のこと?」
ハルは口角を釣り上げると床に付いている手とは逆の手で俺の頬をそっと撫でた。
「"兄さん"と遊んであげるんだよ」
「は……?遊ぶ?」
「そ、すっごい気に入ると思うんだけど。イオが好きそうなとっても面白くて気持ちいい遊び」
誘うような言葉。面白くて気持ちいい、俺はその言葉に誘われないような大人精神でもないしまだまだ高校3年の遊び大好きな男の子。
目の前でヒラヒラと垂らされる猫じゃらしのようなおもちゃに食い付かない訳がなかった。
たぶん、あと一押しで落ちる。背中をトンッと軽く押されただけでその正体も分からない"オアソビ"に落とされてしまう。
「ねぇ、」
するりと頬を撫でられて耳元でゆっくりと言葉を囁かれる。ああ、ヤバイ。これは、ヤバイ。
「……俺と遊んでよ、"兄さん"?」
ぞくりと背筋を何とも言えない感情が駆け上がる。
「いいよ、」
俺はその言葉にこくりと頷いてしまった。
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