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ふとさ迷っていた手が俺の手を見つけてぐいっと引っ張った。いきなりのことにバランスを崩してハルの上に倒れ込む。
「なんだよ……起きてんの?」
そう呼び掛けても返事はない。まだ寝てんのかよ……呆れ通り越して尊敬するわ。そう思っていれば急にぐっと抱きしめられた。
「おまっ……やっぱ起きてんじゃん!」
「……くっ、ふ……」
「笑ってんじゃねぇか!」
ぐぐぐ、とハルの胸板を押して離れようとする。寝起きだからなのか、すんなりと手は離れた。
抵抗したのは俺だけど、こうも簡単に離されると拍子抜けするって言うか……なんかこう、寂しい?みたいな。
「っ、」
駄目だ駄目だ、なんか変だ。これ以上考えないようにしよう。そう心の中で決めて、ベットから起き上がる。
「伊織」
「……なんだよ」
振り返らずぼそり呟くように返す。くっ、とまたハルの堪えるような笑い声が聞こえてきて、怒りがこみ上げる。
「あ、怒った」
「べっつに怒ってねぇし!」
「怒ってるよ」
「だから怒ってなっ……」
怒りに任せて振り向けば、ちゅっと唇と唇がくっつく。ピシッと固まった俺に対してきゅ、と口角を釣り上げて笑うハルの顔が視界いっぱいに映る。
朝だからか、少しカサついた唇が俺から離れていく。それからハルはペロリと見せつけるように唇を舐めた。
「ごちそうさま」
あ、今ぜったい顔真っ赤だ。頭の隅でそう思いながらも俺はピシリと固まったまま、暫く動けなかった。
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