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ぽろり、落ちて
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それから食後のデザートのプリンも食べ終わって、俺達はごちそうさまをした。
食器洗いはヒヨコさんも手伝ってくれて、やっぱりいい人だと改めて思った。
この際だから、とヒヨコさんに仁さんのことを聞いてみたら「心配性の可愛い人」「昼と夜のギャップ」「あたしにとって大切な人」らしい。
昼と夜のギャップ、っていうのはよく分からないけど仁さんの話をするヒヨコさんはとても幸せそうだ
「あの、ヒヨコさん」
「ん?」
「仁さんのこと、宜しくお願いします」
深々と頭を下げて言う。
いつも俺達のことばかりで、自分のことを優先しない親バカな仁さんにはちゃんと幸せになってほしい
「……うん、こちらそこ」
めったに人を連れてこない仁さんがここに人を連れてきたんだ、鈍感な俺でも分かる。
あの、幸せそうな顔。照れたように浮かべる笑顔。
この人は仁さんの特別だって。
「あ、」
特別、なんで気づかなかったんだろう。
なんで今この瞬間になって、気づいちゃったんだろう。
「伊織くん、どうしたの?顔真っ赤だよ?」
「いっ、や……なんでも、ないです」
そう言うこと、か。特別って。俺がもやもやしてた理由。でもそれって……それって。
「イオ」
びく、と体が跳ねる。ハルが俺に手招きをしていた。その仕草だけでぶわっと顔が熱くなった。たぶん、これって。
「ゲームでもする?」
ふっ、と笑って俺の手を引くハルを見て、たぶんが絶対に変わる。
喉に突っかかっていた"自覚"がぽろり、と落ちてきた。
あ、俺、ハルのこと好きだ。
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