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マイヒーロー
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「っぐ、」
ぐわんぐわんと回る視界。頬をズキズキと刺す痛み
ああ、殴られちった。なんて他人事のように思う。
噴水場からそう遠くはない裏路地に連れこまれ、俺は殴られていた。
口の中、血の味がする……
「はっ、弱ぇ癖に威勢のいいことほざきやがって」
今度は腹に拳が飛んできて。次はまた顔。それから蹴られたり髪を引っ張られたり、何度も何度も繰り返された暴力に俺はもう、意識がぼんやりしていた。
「っち、もう終わりかよ。つっまんねぇなぁ……」
「なぁなぁ!これ見てみろよ!綺麗にラッピングされちゃってぇ~たっかそ~」
俺の鞄を漁っていた男が綺麗にラッピングされた箱を見つけて茶化す。
「っ、それに触んな!!!」
瞬間、カッと頭に血がのぼる。
よろよろ安定しない体を無理矢理起こして男に飛びかかった。
けど俺の拳はスカッと宙を切るだけ。
「っとと……あぶっねー。いきなりなにー?」
「女にでもあげるやつなんじゃね?」
「うっわ、マジかよー。リア充とかキショー」
「お前モテねーもんなぁ~童貞クンッ」
「うっせーよッ!!」
簡単に交わされた俺の体は地面に崩れる。赤い空がどんどんと黒に変わっていく。
沸々と湧く怒り。
それに触んなよ、それはお前らみてぇなクズが触っていいもんじゃねぇんだよ。
それは、それは、ハルの。
「あっれー泣いてるんでちゅかー?」
「男なのになっさけねー!」
男たちの笑い声が響く。俺は悔しくて悔しくて、ぐっと唇を噛み締める。
そんな俺の上にふと黒い影が落ちた。
「男なのに集団でボコってる方が情けないと思うんだけど」
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