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…一瞬、固まってしまった。
…冬…だよな?
あの いつもにこにこ笑ってる 冬だよな?
…なんだか…顔は傷ついてるのに、綺麗で、儚くて、脆くて…
――そうだ…
冬が なりたがってた雪みてーで…
目を離したら消えてしまいそうな…。
! って!
考えてる場合じゃねー!!
「冬!冬!!冬って!!」
何を言っても聞こえないらしく、良く見ると カチカチと歯を鳴らしながら、それでも空に舞う雪を見上げてる。
「冬!!」
コートとセーター脱ぎ捨て、無我夢中で池に入った!
この寒い中、池に入るなんて自殺行為だ!!
「冬!このばか!!さっさと上がれ!!」
服を掴んでも、まだ無表情に空を見上げてる。
えーい!!
実力行使だ!もう!
引きずり上げようとすると、初めて俺に気づいたようで ぼんやりと いやいやをする。
「ばかか!冬!凍えて死んじまうぞっ!」
「…雪に…なるの…。水に降る…雪…。」
「あほかっ!!おまえ!!」
「いやあ…!雪に…なる!…雪になるぅ…!」
必死で抵抗してくる。「だめだ!!上がれ!!」
「やだ!やだ!!雪になる!」
なんとかかんとか 池から引きずり上げた…。
「雪…雪になる…」
引きずり上げても!ずるずると また池の方に行こうとする。
押さえ付けても諦めない。
「や…!や!離してぇ…!…雪になるの…」
このー!!わからずや!!
どうしろって言うんだ、俺に!
うぅ…。
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