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「う、ん…?」
目の前には、子ども。
「どうしたアキラ」
と、要さん…
「あんた、誰?」
そっくりの、男。
「要さぁぁあああん!!!!!」
例のごとく『突撃!愛しの要さん家♡』した俺が目にしたのは、要さんそっくりの男に、要さんそっくりの3歳くらいの男の子。
理解できなくなって要さんを呼べば、リビングのドアから現れたのは正真正銘要さんで。
これ…どういう状況?
「こっちが双子の兄の皐(さつき)とその子どもの晃な。で、こっちが俺の恋人の久留須(くるす)新也。双方何か質問はあるか」
「ありまくりですけど!!!ねえ要さんって双子だったの!?」
ひとまずリビングで座った俺たちは、要さんにそれぞれ紹介してもらった。それはいい。それはいいが…突っ込みたいこと色々あるよ!?なんておれが悶々としていると、皐さんが口を開いた。
「なんだ要、お前ゲイだったのか?」
「いや、こいつだけだな」
「ふーん」
晃くんにみかんを食べさせながら、品定めするような目でおれをジロジロ見る皐さん。すっげー居心地悪いけど、家族からしてみれば、男なんてやっぱ御免なんだろうな…。
「えっと…、かな…有村さんと、お付き合いさせていただいてます。久留須新也です」
おれが皐さんの瞳を見てなんとかそう言うと、皐さんはスッ、と目を細めた。
「へぇ?なかなか根性ある餓鬼だな。でもな、お前まだ学生だろう。今はまだいいが、社会に出たら、冷たい目で見られることだって少なくねえんだ。そんな時、お前は逃げないで要とやっていけるのか?」
「勿論です」
間髪入れず即答すると、皐さんはそれを鼻で笑った。
「ハッ、…今はなんとでも言えるだろうな。家族にも白い目で見られたら?要だって親になんて言われっか分かんねえんだぞ。お前にそれをフォローできるのか?学生のうちのお遊びならさっさと別れな」
「おい、皐っ!そのくらいにしろっ」
「お前は黙ってろ」
要さんの制止をぴしゃりと跳ね除けた皐さんは、おれの目をまっすぐ見つめている。というか、おれの真意を探っている。
「お、れは…」
皐さんの気迫に気圧されそうになりながら、それでも皐さんと目線を合わせて言葉を紡ぐ。
「おれは確かにまだ学生で、頼りないかもしれません。家族にカミングアウトもしてないし、仮にうちはよくても、要さんのご両親には申し訳ないと思います。
でも、要さんがいいんです。要さんしか駄目なんです。おれにはこれからずっと、要さんが必要で、誰に何を言われても、おれが要さんを守るし支えたいんです。お願いします。
要さんのそばに、居させてください」
頭を下げて皐さんの言葉を待っていると、隣に座っている要さんの手に、ポタッと何かが落ちた。
顔を上げて要さんを見ると、頰に伝った涙を気にするそぶりもなく、真っ赤な目を見開いてこちらを見つめていた。
「えっ、要さん!?どうしたの、どっか痛い?あれ、もしかして嫌だった?ごめっ…」
言い終わる前にギュウッ…と抱きしめられた。
「か、要さん…?」
「っ、俺は、お前は…いつかっ…絶対、離、れていくっ、て…」
「はあっ!?」
嗚咽とともに聞こえてきた言葉に、バッと要さんを離して顔を合わせる。
なに、要さんなんてこと考えてたの…!?
この前あんな事あったばっかでしょ!?おれわりとガチで要さんのこと殺しそうだったよあの時!!
おれの動揺も知らず、ハラハラと涙を流しながら要さんはさらに言葉を重ねた。
「今は、確かに俺のことを愛してくれてると思う。でもお前はこれから、社会に出て、いろんな人と出会って成長して、そんな中できっと、俺はいらなくなるんだ、って…だから、いつその日が来てもいいように覚悟しておこう、って思って…」
「ちょ、そんなわけないでしょ!?おれは要さんと同じ墓に入る気でいるのに」
俺がそう言うと、要さんはさらに目を大きくしてまた泣く。えっ、おれなんかまずいこと言った!?と狼狽えていると、皐さんの笑い声が聞こえてきた。
「っははははは!!要、お前愛されてんなあ!!っく、ははははっ!!おい、新也だっけか、お前、要はこんなナリでくっそネガティブ泣き虫な面倒くせぇ奴だって知ってたか?そのくせ人前で泣こうとしねぇんだ。昔からこいつが泣くのは余程心許した奴の前だけでな。それがこんな号泣とはなぁ」
へぇー、と感心したように笑う皐さんに、うるせーと返す要さん。
ねぇおれの一世一代の大告白はスルー?
と思っていると、皐さんがふとおれの方を向いて合格、と言い放った。
「へ?」
「だから、認めてやる。お前の覚悟はわかったし、要がこんなんじゃな。ま、頑張れよ」
それだけ言うと、いつの間にか寝てしまった晃くんを抱っこした皐さんが帰るわ、と立ち上がった。
まだグスグス言ってる要さんと玄関まで見送りに行くと、ドアを開けた皐さんがおれを見て、悪かったな、と呟いた。
「っ、いいえ!あの、また来てください!」
それにフッ、と笑った皐さんは、おー、とだけ返事をして帰って行った。
「っ、はー…」
安心して、どかっとその場にしゃがみ込んだおれの頭を撫でてくる要さん。
「新也」
「ん、?」
「愛して、る」
バッと顔を上げると、要さんは既に方向転換してリビングに向かっていた。
「おれも。おれも要さん愛してるよ」
すぐ追いついてそう言えば、要さんはいつもとちょっと違う、嬉しそうな笑顔だった。
fin...
「でもー、おれの愛を疑ってたことはお仕置きね?」
「え゛」
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