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創
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そんな俺らもあっという間に受験生になり、イキってた奴らは自分たちのストレスを坂谷にぶつけるようになっていた。あまりに見かねる時は俺から注意していたが、それでも坂谷は「大丈夫だから」と表情ひとつ変えなかった。
それで坂谷が怒ったり、泣き喚いたりするならまだマシだったのかもしれない。
「うん、わかった。」
そう言っていつものように微笑む坂谷に、より一層他の奴らは腹を立てていたのだ。
ホームルーム前に席について担任を待っていると、いつも一番に来ているはずの坂谷がいないことに気がついた。更に、他の奴らは珍しく楽しそうに笑っていて、俺は嫌な予感がした。
「・・・なぁ、坂谷は?知らねぇか?」
「はぁ?知らねーよあんな奴。お前の方が仲良しなくせに俺らに聞くなよー。」
そう言いながらも笑いを堪えながら話しているそいつらに、俺は頭にきて目の前にある机を思いっきり蹴飛ばした。
「ヘラヘラ笑ってんじゃねぇよ!!!坂谷はどうしたって聞いてんだ!!!」
俺の怒鳴り声にクラスメイトは一気に静かになり、女子達はどうしよう?先生呼ぶ?などとコソコソ話をしている。
俺自身も、なんで坂谷のためにこんな必死になってるのか不思議で仕方が無いが、小中高と皆勤賞の坂谷が居ないのはこいつらが原因に間違いない。
・・・その予感が勘違いなら良かったが、他の奴らの口から出た言葉はとんでもない言葉だった。
「まぁまぁ落ち着けって。ヘラヘラしてて腹立ったから、烏堂の奴お前のことホントは超嫌いで、死んで欲しいくらいだって言ってたぜーって冗談言っただけだよ。・・・まぁ珍しく血相変えて教室出ていったけど?」
「ショック受けて家で引きこもってんじゃね?あいつ烏堂のことだーいすきだもんなー?ひー気持ちわりぃ。」
俺はサッと血の気か引いていくのがわかった。・・・坂谷は素直すぎる故に冗談が通じない奴だ。ふとそのとき、少し前に言われた言葉を思い出していた。それは、頼み事なら誰でも平等に聞くのか?と聞いた時のことだ。
“烏堂の頼み事なら、なんでも聞くよ・・・俺。”
そのときはなんとも思わず聞き流していたが、まさか・・・。
「・・・坂谷は、そんとき、なんて返事・・・したんだよ。」
「いつもと同じだよ。“わかった”ってよ。」
流石に無理だろ~?と大声で笑うそいつの胸ぐらを掴むと、担任ではなく何故か校長が部屋に入ってきた。
「ホームルーム前にすまないが、皆屋上の鍵を知らないかー?おそらくだか今朝からないようなんじゃが・・・。」
屋上・・・その言葉に、俺は考えるより前に走り出していた。
「あっちょっと君!!もうすぐホームルームなのに待ちなさい!」
校長の怒鳴り声を背に、ただ俺は同じ言葉を繰り返しながら、屋上に続く階段へと向かって行った。
・・・頼むから、間に合ってくれ。
この嫌な予感が当たらないでくれ、と。
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