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番外編、生殺し※
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※このページには性描写があります。18歳以下の方、性描写が苦手な方は飛ばしても話はわかるようにしてありますので、次のお話を読んでいただけると幸いです。
〈番外編、生殺し〉*R18
すやすやと穏やかな顔で眠る幼馴染の顔を見つめ、俺は途方に暮れていた。
人の気も知らないで……。
無性にむかつき寝息を立てる鼻を少しつまむともっと抱きついてきてしまった。ああ、これどうしよう。
上気した頬、ふっくらとした唇、はだけた胸元から見える白い肌。誘うように潤んだ瞳。そして絡められたしなやかな無駄な肉のない白い足。惚れた欲目とはよく言ったもので、樹の全てが愛らしく艶めかしい色気を放っているように見える。樹に邪な感情を抱いている俺には、この状況は生殺し以外のなんでもなかった。
腕の中の樹を優しく抱きしめる。
樹。俺の樹。
抑えていた感情が溢れるように愛しさが募る。茶色い柔らかな髪も、何故か甘いにおいのする柔らかくはない身体も、狂いそうなほど好きだ。
孝太郎と無邪気に呼ぶ唇にキスをしたい。そして呼吸を奪い、泣かせたい。白い肌を桃色に染め上げて、めちゃくちゃにしてどろどろの快楽漬けにしてやりたい。俺無しでは生きられない体にしてやりたい。
熱い欲のこもった吐息が漏れる。くすぐったいのか樹が少し身をよじった。完全に起ちあがってしまった自分の欲望を感じて呆れるような想いが胸中を支配する。
身をよじったことであらわになった首筋に柔らかく口付ける。そのまま食むようにやわやわと皮膚を甘噛していると樹がそっと息を零した。
「こうたろ、う」
「っ……この、」
お前今貞操の危機なんだぞ。わかってんのか。
理不尽な怒りに震える。胸の中でお前のせいだからなと言い訳をして、首の裏に強く吸い付いた。
髪に隠れてぎりぎり見えるか見えないかのところで小さな痕をつけた。もうどうにでもなれとも考えて唇にキスを落とした。触れるだけのキスだけでは物足りないような気もするが、寝ている相手にこれ以上は期待できない。
もう一度ぎゅう、と強く抱きしめて俺は切ない気持ちで一杯だった。一人でこの昂ぶった下半身をこれから慰めるのはむなしすぎる。
とりあえず着替えさせるため樹の拘束から逃れようとした瞬間、さらに抱きつき腰が密着する形になる。俺は樹の下半身が硬くなっていることに気付き、ぐにゃりとした欲望が頭をもたげた。悪魔がそっと甘美な誘惑を囁く。
一度だけ。ばれなければいい。惚れぬいた相手に触れたいだろう?
きっと樹のは生理現象だ。俺の欲望とはわけが違う。
一度触れてしまえば後には引けない。もし、ばれてしまったら。嫌われたら。最悪の未来が脳裏をよぎった。
――――いつか、樹は他の人のものになる。お前にそれが耐えられるのか?
誰かと抱き合う樹を想像して、頭に焼ききれるような激情が走った。狂いそうな嫉妬心に駆られ、悪魔の誘惑に耳を傾ける。
「……ごめんな」
樹のパンツの上をそっと撫ぜ、硬度を持ちはじめる樹のそれに興奮する。ベルトを外し自分のものを取り出す。そして樹のと自分のものを束ねて持つようにし、一緒に擦りあげていく。
「ん、くぅ……っぁ……」
「樹、ごめん、いつきっ……!」
くりくりと鈴口をいじってやると息を荒くして身体をふるわせる。裏筋を撫で、亀頭の笠の縁を焦らすようになぞる。喘ぐように漏れる声に誘われるように手を動かす。男同士、感じるポイントはわかっている。ネチネチとお互いの亀頭をこすり合わせると視覚的な物も合わさって興奮が増していく。酷いことをしている罪悪感に手が止まりそうになるが、甘い背徳感、そしてくらくらするほどの快感が本能のままに動けと命じているようだった。
「ん……!! あ、あ! ……や、」
「、は……」
ぐちゅぐちゅとお互いの先走りが絡み合い、いやらしい音が鼓膜に響く。樹が行き場のない手を俺の髪に絡ませる。その行動が扇情的でさらに俺を煽っていく。樹の表情を見ると与えられている快感に感じているためか、頬が紅潮していた。
どんどん手の動きが速くなっていき、樹はあられのない喘ぎをあげていく。
「ぁ、はぁっ、ああっ!」
「くっ……!」
どくんとほぼ同時に欲望が爆ぜ、荒い息のまま樹のことを見つめた。とろりとお互いの亀頭から零れた白濁は混ざり合って独特の匂いが部屋に広がる。樹は頬を上気させながら荒い呼吸をしている。おそるおそる名前を呼ぶ。しかし伏せられた瞼が上がることはなく、胸の中に安堵が広がる。
その後やってくるのは猛烈な後悔と罪悪感。なかったことにしたくても手に残る欲望の残滓がそれを許さない。
(俺の好きな人が自分だなんて、お前は思ってもないんだろうな)
誰が見ても、報われない恋だ。俺はいつか樹が誰かと寄り添いあう姿を一番近くで見るのだろう。幼馴染の親友という立場で、自分の黒い感情を隠しながら。その時、俺は耐えられるのか。愛しい樹を奪われたら、俺は。
ただただ自分の堪え性のなさに絶望し、俺は愛しい幼馴染の顔にキスを落とした。
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