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確かめたい気持ち①
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次の日から、確認の為の2日間は始まった。
朝、目を覚ました場所は、自宅のベッドの上。
必要な服やらを持って、昨日は一時帰宅だ。
……結果次第では、もう戻らないかもしれないけど。
「おはようございます」
「おはようございます!」
会社へ出勤すると、生駒さんのハツラツとした挨拶が返ってくる。
軽く会釈で対応した後で一ノ瀬くんに目を向けるが、一ノ瀬くんは全くこちらに無関心だった。
いや、そういうフリなのだろうけど。
(良かった……)
でも、その態度でいい。
それで2日も過ごせば、俺の本当の気持ちが分かるだろうから。
俺は、本当の気持ちが知りたいんだ。
たった2日の辛抱。
そう思って俺は、今日もいつも通りのプロセスを踏んでいく。
▽ ▽ ▽
仕事内容の確認の時。
資料作成を依頼した時。
俺と一ノ瀬くんが関わったのは、その時くらいだった。それ以外は、いつも手伝ってくれていた作業でも関わりは無かった。
それはそれで悲しかったけど、俺が提案したことだし、仕方無い。
「…お疲れ様でした」
そうして、1日が過ぎていく。
まだこの時点では、一ノ瀬くんのことがどうとかは分からなかった。
後は、家に帰ってから俺がどう思うかだ。
帰り支度を終わらせて席を立つが、当然、一ノ瀬くんは何も声を掛けてこない。
「……佐伯さーん」
一ノ瀬くんと同じ呼び方をされて少し驚いたが、名前を呼んだのは、生駒さんだった。
「どうかしましたか?」
返事を返してやると、生駒さんはにこにこと楽しげに笑う。俺は、生駒さんの意志が読み取れなくて首を傾げる。
ほんとに、子供みたいだ。
「今日、一緒に帰りませんかっ?」
「え……」
予想もしていなかった提案に、俺は僅かに固まる。
それに、今は1人になりたい気分だったし、それどころじゃあない。
だが、嬉々とした表情で言う生駒さんに、俺はすごく断り難い状況に置かれていた。
きっと断ったら、この表情が180度変化するんだろうな。
俺は渋った表情をしそうになるのを抑え、控え目に問い掛けた。
「いいですけど、俺タクシーで帰りますよ?」
すると生駒さんは、元気有り余る威勢で頷く。
「はい!一緒に帰りましょう!」
これじゃあ、まるで犬だ。
生駒さんは勢い良く、その見えない尻尾を振った。
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