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5対4
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「はぁーい☆加藤さん、ご帰還でーす!」
パーティルーム 2番に入ると大音量の音楽に耳を押さえたくなった。
『おっ!加藤、ようやく来たかよ!もう盛り上がりまくってんぞ!!』
ワイシャツ姿の男性が、エコーのかかったマイクで大声を上げた。
「んで、こちらがうちの椿 雄大君です!」
西川に紹介され、雄大は遠慮がちに頭を下げた。
「遅れてすみません。」
『何?高校生?』
「こう見えてもゆーちゃんは22歳でーす!」
マイクを持った男性とその横にいた同じようなワイシャツ姿の男性が顔を合わせた。
『あぁ、あの、黒田さんが見たって言ってた男の子ね!』
2人は頷き合って、再び雄大を見た。
『マジで女の子みたいな顔の子だね。カワイイー。ほら、こっち来なよ!』
「やめろよ、浅木。」
成康が厳しい声をかけた。
「あっ、僕はここでいいです。」
薄暗くてみんなの表情ははっきりとは分からないが、ピリッとした空気が流れたため、雄大は入り口近くに一つあった丸椅子に座った。
「じゃ、みんな揃ったし、また乾杯しましょう!」
(僕の飲み物ないけど…)
「この曲誰?」
「俺ー!マイクちょうだい。」
「デンモ◯貸してー」
「この曲、いいよねー☆」
入り口に近いこの場所ではみんな事がよく見えた。
テレビに近い左側のソファーに成康の会社の人であろうワイシャツ姿男性が2人並び、その向かい側に西川の友達であろう若い女の子がマラカス振っていた。
男性2人の横に上村とそれに張り付く野上が、上村にしきりに話しかけていた。
そしてその向かい側に成康と西川の順番に座った。
雄大は1人丸椅子に座り、グラスに入った冷たいウーロン茶を手でもて遊んでいた。
視界に西川と西川の友達が成康に声をかけているのが見える。
みんな白っぽい服を着て、長い髪を揺らして話しかけていた。
「……」
持っていたグラスのせいで、指先が冷え冷えしてきた。
成康が女の子と話す姿は、健全で、このままカップルになっても不思議じゃない。
(来なければよかった…)
雄大は水滴でビシャビシャになった指先が痛くなり、ため息をついて俯いた。
「お疲れ様です。」
頭の上から声がして、雄大ははっと顔を上げた。
スッと手からグラスが抜かれ、その手におしぼりを差し込まれた。
「あっ…」
見上げると薄いライトが当たった上村と目があった。
「あ、ありがとう。」
雄大が大人しくおしぼりで手を拭いていると、上村はポンっと雄大の頭を叩いて、部屋を出ていった。
「あら?上村君?お手洗い?あれ?」
何の言葉もなく1人にされた野上はグルグルと首を左右に振り、ピーンとした顔で成康を見ていた。
「あー!そろそろー席替えしましょう☆」
野上は大きなバッグからジャラジャラと長い棒を取り出した。
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