アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Fカップの脅威
-
「あれは噂の渡辺さんじゃないかな?」
「噂の…?」
「あぁ、こう…」
黒田は自分の手で胸から大きな山を作った。
「はぁ?」
雄大は眉をしかめて、その手の動きを見ていた。
「だからこう…噂のFカップの23歳だ。」
黒田はケロリとした顔で言い放った。
「F!?A、B、C、D、E、F…F!?」
「拝みたいねー。」
壁から顔をのぞかせる黒田の後ろで、雄大はあわわわとなっていた。
「F……」
「おっ!おい。」
Fの文字が頭に回る雄大の肩を黒田が揺らした。
「ほら!行くぞ!」
「行くって…?」
飛び出した黒田を追いかけるように雄大も付いて行った。
「いや、やっぱりバレますって。」
「大丈夫だろう。これだけ離れてるし。すみません、注文お願いします!」
「じゃあ、黒田さん、もう少し声のトーンを下げてください。」
満席のイタリアンレストラン
パーテーションを挟んで、斜めに見える席に成康の後ろ姿と女性の顔が見えた。
「あいつら何頼んでる?」
「あっ!黒田さんは振り向かないで下さい!渡辺さんですか?気づかれるかもしれませんから!」
「警戒しすぎだよ。渡辺さんとは部署違うから、わかんねぇよ。」
そういって黒田はワインをグッと飲み干した。
(ってあんたの容姿は目立つだろう…)
薄い唇を上げて笑う黒田を見て、ため息を吐いた。
「ほら、飲めよ。」
ワインボトルの口を突き出され、雄大は慌てて自分の空のグラスを隠した。
「ぼ、僕はいいです!」
「20歳超えてんだろう?飲まないんなら、ここは奢らないぞ。」
「いいですよ!僕はご飯食べに来たわけじゃ…」
隣の席に美味しそうな魚介のパスタが届き、雄大は唾を飲み込んだ。
「ここ、意外に高いぞー。」
雄大はおずおずとグラスを出した。
黒田は満足そうにグラスに赤い液体を注ぎ込んだ。
「あっ、店員さん。この子、20歳超えてるから。」
通りかかった店員に黒田はニンマリ顏で声かけた。
「あとこのコースね。」
黒田は1番高いコースを指差した。
「コースなんて…」
「あいつら多分このコースを食べてんぞ。」
パタンとメニューを閉じる黒田に雄大は何も言えずに注がれたワインを流し込んだ。
「ぐーー!」
黒田は笑いながら、再び雄大のグラスにワインを注いだ。
「で?今日は加藤君とは約束してなかったんだよね?」
前菜のカルパッチョにスープ、ピザ、ライスコロッケを食べ、パスタが出てきた時に黒田は口を開いた。
「…はい。。」
雄大はクリームパスタをフォークで混ぜた。
「じゃあ、どうしてあそこにいたの?」
「それは…」
ワインを一気に飲むと胸が熱くなった。
「実は…ずっとなり….加藤さんと連絡取れてなくて。。」
「どれくらい?」
「12日くらい…」
黒田はジッと雄大を見てきたので、パスタがうまく絡まなかった。
「ふーーん。でも君たち、ただの親戚でしょう?」
雄大はガシヮンとフォークを皿に落とした。
(そうだった…!)
ワインのせいで顔が熱いのに血の気が引いていくのがわかった。
「仲いいんだね。」
「……は、はい。」
ドギマギしながらパスタを詰め込んだ。
「それ、トリュフが乗ってんだぜ。」
「あっ、美味しいです。」
雄大は味を感じないパスタを無理矢理詰め込んだ。
「やっぱり、僕も支払いを。。」
「いいって!てか早く追いかけるぞ。」
店の外で雄大は財布を出して、黒田に迫っていた。
「でも2万くらい払ってましたよね?」
「見てたんかい!いやそんなに払ってないし。」
「今…手持ちが5千円くらいしかないんですが…」
「それより、行くぞ!見失うぞ!」
「僕はべ、別に…待ってください!」
10メートルくらい先を2人は歩いていた。
背の高い成康は見つけやすかった。
2人は手や腕は繋いでないものの、女性は成康に寄りかかりたいようで、くっつくように歩いていた。
傍目ではまるでカップルのような2人。
「……あの2人って付き合ってるんですか?」
夜風が少しひんやりしてきた。
「うーん。聞いたことないな。」
「最近…付き合い始めたのかな?」
「うーーん。俺は、同じ部署だけど、あいつそういう話をポンポンしないからな。でも…」
黒田は考えるように顎に手を当てた。
「半年前くらいからすごくご機嫌だったのにここ最近は偉く機嫌が悪いってか、怒ってる感じだったな。あいつが珍しいなと思ってたけど。」
(怒ってる….のか…)
雄大はシュンとした。
些細な行動だと自分が思っていても、相手には重大な行動だったと感じたのかもしれない。
前を歩く2人を見ながら、雄大はそれを痛感した。
ふと自分の少し後ろを歩く黒田に目を向けた。
「あの…何で黒田さんはこんな事に付き合ってくれてる…っていうか、こんな尾行まがいな事してるんですか?あの、渡辺さんって人が…」
「シッ!ちょっと立ち止まったぞ!」
黒田は前を向いたまま、雄大に顔を近づけた。
先を歩いていた2人は立ち止まって、女の人の方が何やら指をさしながら、成康を誘導しようとしていた。
「あの方向……」
「?」
神妙な顔をする黒田に雄大は首を傾げた。
「あの方向、ラブホ街だ。」
「えっ!??」
雄大は2人を見た。
成康は女性に腕を引かれて、指をさされた路地へと入っていった。
(成康さん!!)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
43 / 147