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香りの効果
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「どうしたの!?これ?」
詩央里がドシドシと中に入ってきて、化粧水を取り上げた。
「あっ!それは!」
仁王立ちした詩央里は「わーー」と容器を振った。
「これ、モールに入ってる化粧品屋のでしょう?何?試供品にしては多いわね。」
「貰ったんだよ。」
雄大が手を伸ばすと詩央里はフィッと逃げた。
「店員さんから?」
「まぁ…それって幾らくらいするの?」
「ん?あんまり高くないわよ。3000円くらい?」
「3000円!?ただの液体に??」
「女の子はこういうので綺麗になるの!」
くるりとプリーツスカートをはためかす詩央里をぽかんと見つめた。
「…姉ちゃんはあんまり効果出てない…イテッ!」
膝を踏まれて、雄大は顔を歪めた。
「失礼ね。お姉さまは今から婚活パーティーよ!」
「婚活…?」
「安定職の安定給料の人と結婚して、普通の幸せを掴むのよ!」
(普通の…幸せ?)
雄大はぽかりと口を開いた。
「好きな人と一緒になるのは?」
詩央里は少し顔を歪めて、雄大を見下ろした。
「一番好きな人とは好きになる確率は400分の1よ。無理でしょ。」
「えっ…?」
心がぐらりと揺れた。
(奇跡の数字だ!)
「まっ!好きな人なんて、付き合ってみないと、好きかわからないし!これ、貰うわよ。」
詩央里が化粧水を両手で握ったので、雄大は急いでその手に飛びついた。
「だ、駄目だよ!それは僕のだし!」
「はっ?!とうとう女に目覚めた?まぁ、それっぽかったけど…」
「違うよ!!」
「あんたには宝の持ち腐れよ!」
「そ、そんな事ない!!」
強く引っ張ったせいで雄大は尻餅をつき、化粧水が床に落ち、蓋が開いた。
「わっわっ!」
「あっ!もうこんな時間!あんたと遊んでる暇なかったわ。バカ弟!」
詩央里はスカートを翻して、部屋を出て行った。
「何なんだよ…」
雄大は鼻をスンと吸った。
薔薇?百合?
濃い上品な香りが指を伝う。
雄大は手に付いた化粧水をそっと頬に当てた。
「いい香り…」
両手を頬に当てたまま、目を閉じる。
(成康さんもいつも強い花のような匂いがしてる。。)
ゆっくり目を開けると鏡に自分の顔が映っていた。
「あっ…」
雄大は自分を見てにっこり笑った。
「思われニキビ…えへっ☆」
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