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いつものようでいつもと違う日
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「椿さん、これどこに置きますか?」
「……」
雄大はジャックオーランタンの沢山入った段ボールを抱えながら、ジロリと声の方に振り返った。
視線の先には怪しげな紫の瓶詰めを掲げる上村がいた。
「じゃあ…そこの下に。。」
「これお菓子みたいですけど、そんな地面に近いトコに置きます?」
相変わらずの憎まれ口に雄大はイッーーとしたくなった。
「じゃあレジ横にスペース作るから。」
雄大は段ボールを置いて、上村に近づいた。
「そこのテーブル運ぼう。」
上村は大人しく指差されたテーブルの端を持った。
(僕を殴ったのは上村君だったんだよね…?)
次の日、何の事もなかったように涼しい顔をして、店長あらの質問にも「イライラしてたんです」とだけ答えた上村君。
ジッと雄大を見る視線は鋭いくせに、すぐに目をそらすようになった。
こうやって面と向かうと上村は何も嫌味1ついってこない。何か言いたいように唇を何度は噛んでいた。
ふと、上村の後ろにブレザーの制服を着た女の子が立っているのが見えた。
「俺、なんか下に敷く布を持って来ます。」
「あっ、ああ…」
上村がバックヤードに向かうと女の子はあっと言う顔をして、シュンとした。
「?」
雄大が首を傾けると女の子はパアッと顔を明るくして、雄大に近づいてきた。
「あっ、あの!!」
丸っこい顔とふくふくとした頬が紅く染まっていた。
「さっきの人に…これを!」
女の子は雄大の前に可愛らしい緑の封筒を差し出した。
(あぁ….そういうことか…)
初々しく頭を下げる女の子に雄大は困ったように苦笑いを浮かべた。
「あっ、あの彼、呼んでくるから!」
「あっ!?えっ??」
7面変化する女の子は、恋を楽しんでるようで羨ましかった。
「よーよー、少年!!」
相変わらずホストのような細身のスーツの黒田が手を上げて入ってきた。
「なんだ…黒田さんか…」
「なんだって、なんだよ!」
後ろを探したが、成康の姿は無く、ため息をつきそうになった。
「おい?何してんだ?あいつら。」
黒田はレジに肘をつきながら、上村と女子高生の2人を顎でしゃくった。
「告白….?だと思います。」
「告白!?いいなー女子高生!」
「黒田さんは犯罪ですよ?」
「俺は見た目若いぜ!カップルイケるぜ!」
「黒田さんについて行ったら、異国の地に売られそう…」
「お前、俺のことどう見てるわけ?」
不服そうな眉の黒田にうまく笑えなかった。
2人は微笑ましく、女の子は真っ赤な顔で上村に何かを伝えていた。
後ろ姿の上村は落ち着き無く、肩を動かしたり、頭をかいたりしていた。
「…….?」
心臓にモヤっとした違和感を感じた。
2人の様子が微笑ましい程、面白くないような気持ちも湧き上がってきた。
(何で…こんな気持ち…?)
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