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1人部屋
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「2階に?」
成康の手が雄大を支えようと肩に手を伸ばしてきた。
雄大はそれを急いで片手で遮った。
「い、いや!大丈夫です。。その…もう母も帰ってくると思うんで、もう帰ってくださ……」
RRRRR
廊下の奥のリビングから電話の音がした。
雄大と成康は大きな音の方に顔を向けた。
RRR カチ
”只今、留守にしています。ご用の方は発信音の後メッセージをどうぞ”
プー
『あっ、雄大?お母さんです。今日、隣の八嶋さんとカラオケ行ってくるから。お父さんと姉ちゃんも飲み会だから、トイレは自由に使っていいわよー。なんかあったら八嶋さんとこのおじさんがいるから。じゃあねー。』
カチ
「……」
雄大と成康が顔を合わせた。
成康は優しい顔で遠慮がちに微笑んだ。
雄大は一気に顔が熱くなり、急いで階段を昇ろうとした。
「まっ、待って雄大くん!!」
「帰って下さい!わたっ!!」
雄大は階段を踏み外して、脛を打った。
「雄大君、大丈夫!?」
「大丈夫…ホント…帰って…」
そう言って四つん這いで階段を昇る雄大の後ろを成康が付いてくる。
「つ、付いてこないで…」
「でもお母さん、遅くなるんでしょう?それまではいるから。」
「いやいやいや!帰って下さい。」
階段を上がりきって、よろよろする雄大は部屋を守るように扉に身体を預けた。
「あの…部屋は…ダメです。。」
「ベッドに入るのを見届けだけだよ。」
真っ直ぐな目がこちらを見ている。
その凜とした目に見つめられるとドキドキして、雄大はつい俯いた。
「帰って…ください…」
(これ以上、情けない僕を見ないで下さい!)
ガチャ!!
ハッとして見るとドアノブに手がかかっていた。
「!?」
雄大が顔を上げるとすぐそこに成康の整った顔があった。
「ちょっ!」
本気で心臓が飛び出すかと思った。
雄大は急いで成康の手をドアノブから外そうと手を伸ばした。
手が触れ、雄大はごくんと唾を飲んだ。
「ダ、ダメですって!」
「ダメ?」
成康が不服そうに眉を歪めた。
「雄大君、これは俺が上司(黒田)に頼まれた仕事なんだよ。」
「えっ?えっ?」
「ここで帰ってしまったら、上司(黒田)になんて報告すればいいんだ。このまま帰ったら、買ったお菓子の経費も出ない。」
成康は近くのケーキ屋の淡い水色の箱を掲げた。
「いや…でも…」
「ベッドに入ったら、帰るから。」
”帰るから”
その言葉だけで、何故か胸がシクっとした。
「わかり…ました。。じゃあ、、絶対に帰って下さいね。。」
雄大は心臓の音を気にしながら、成康の開く扉に身を任せた。
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