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近づきたくて
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でも…
あれは不味かったよな…
辰成は床にモップをかけながら、立ち止まった。
すると店内に軽快の音楽が流れ始めた。
「上村くん!開店5分前!!」
「あっ…はい!」
辰成は急いでモップを引きずった。
「牟田さん!?なんか服に白いのついてるけど!?」
「あっ、ドーナツの砂糖です。」
「きゃー早く落として!」
モップをかけたばかりの店内で、店長が砂糖のついた牟田の服をバタバタ払っている。
(…椿さんいればなんか他の方法で払うだろうな…)
辰成はふっと思い、頭を振った。
ふとした瞬間、瞬間に椿のことを考えて、自分のした事に肩を落としてしまう。
「いらっしゃいませー。」
クリスマスソングはまだだけど、クリスマスカラーは店の半分を占めていた。
お客はそれに歓喜の声を上げ、手に取り、隣の誰かと楽しみを分かち合っている。
それを見て、珍しく羨ましいと思っている自分がいる。
(仕事!仕事!!椿さんか戻って来た時には完璧にしときたいし。。褒めて…褒めてくれるかな?)
辰成は急にスイッチが入ったようによく動き出した。触っては倒される小さなサンタの人形を並べ直したり、クリスマスの飾りに綿を装飾したり直したりしていた。
「上村君??」
急に自分の名前を呼ばれ、はたきを持ったまま辰成は顔を上げた。
目の前に長い黒髪の先をクルクルと巻いた丸顔の女の子が、両手を胸の前に置いて、たっていた。
「??」
「こんな所で働いてたんだー。」
辰成の誰?って顔も気にせず、女の子は揺れながら辰成に近づいた。
「いつもバイトで捕まらないってさっちが言ってけど、ここに勤めてたんだー。知らなかったー。」
「…まぁ…ね?」
名前を聞く気もなかった辰成は適当に相槌を打った。
「これ可愛いーーー!」
女の子はしゃがんで下の段のトナカイのひざ掛けを手にとっていた。
「コレ、何色まであるの?」
辰成は仕方なしに女の子の横にしゃがみ、ひざ掛けの棚に手を突っ込んだ。
「えっと…黄色と赤と緑と白…」
辰成が色とりどりのひざ掛けを引き出しすと、女の子は自分の太ももに肘をついて、辰成を見ていた。
「……」
ふと、女の子は短いスカートにタイツも履いていないムチっとした生足を辰成に向けていた。
「どれにしようかなー?」
椿の足は細いけど、意外と筋肉がついていて、硬かった。
やっぱり男だなと思った。
でもその白い肌と薄い体毛と綺麗な形の足と尻、そしてあの泣きそうな顔…
思い出すだけで、辰成は身体の芯が熱くなった。
(駄目だ!)
「どうしたの?」
辰成は口元を手で押さえて、立ち上がった。
「ねぇ、どうしたの?」
「べ、別に……」
辰成はねぇ、ねぇとまとわりつく女の子から顔をそらした。
(思い出すだけで…汗)
辰成は必死で自分をなだめた。
顔をそらした先にこちらを見ている人がいた。
「ところでさ、上村君、今日夜、空いてない?」
「………」
その人は長い足をゆっくりと動かし、こちらへ向かってきた。
「今日は無理なら連絡先…」
「やぁ。」
辰成はその人を真っ直ぐに見た。
「上村さん、少し話してもいいかな?」
穏やかな口調なのにその目は責めるように自分を見ていた。
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