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悩んでダッシュして
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「成康….さん…」
ぐしゅっ
不安と焦りで涙が出そうになり、鼻をすすった。
昔、車で父親とスーパー行き、商品を後部座席に乗せて、さぁ助手席に….とドアを閉めた瞬間、車が発車した時のような…不安と焦りと衝撃で大泣きした幼少期の時の記憶が蘇る。
ただし、今回は父親はUターンしないし、泣いても誰も助けてくれない。
「あぁ!もう!」
雄大はほろっと流れた涙を指で乱暴に拭った。
人混みを走るのは難しいし、室内を走るもんじゃないと怒られてしまうかもしれない。
(なんで2人が喧嘩なんて…)
上村君が無愛想な態度をとったから?
いや、成康さんはそんな事では怒らない。注意はするかもしれないけど、あの人は力で押し付けるような人じゃない。
上村君は成康さんが気に食わないみたいなか感じだったから、喧嘩をふっかけたりしたんだろうか?
でも成康さんがそんな子供っぽい喧嘩を受けるはずない。
じゃあ、、、もしかして僕?
雄大は頭を振った。
そんなはずはない…だって僕らは別れたし、僕は別れを言ったし…だって成康さんは女性と一緒に…
だから別れを……
雄大の足が走るのをやめた。
持ってきてくれたお菓子は甘い香りとバターの味が口の中に広がって、美味しかった。
甘い味は成康さんのようだった。
甘さが胸に焼き付いて、胸をかきむしりたくなる。
「あははははっ!!」
大きな笑い声がして、雄大はハッと顔を上げた。
小さな男の子が父親らしき人に手を取られて、ご機嫌で笑っていた。
(そうだ。笑われて当然だから。今するべきは成康さんを探す事だろう?だって…だって、今の彼は1人なんだから!)
雄大は目についたエスカレーターを駆け下りた。
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