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お見合い会場
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「いやーー!お嬢さん、今日、お見合いする会場はどこですかね?」
「はっ?あの….お客様が…ですか?」
「いやいや、俺の部下がね…」
「もう!!」
ヘラヘラと笑う黒田を引っ張り、雄大は顔を寄せた。
「そんなの教えてくれるわけないじゃないですか!?しかももう12時過ぎ!中に入ってるに決まってるでしょう!高速乗っちゃったからこんな時間に。。」
「お前が窓に引っかかるから。」
「あんなの!クラクションしか鳴らされなかったですよ!」
「泣く泣くな。しかし、教えてくれないかな?名刺出そうか?…あら?今日は入れてきてなかったわ。」
雄大は大きなため息をついて、白く広がる天井を見上げた。
「…でかいホテルだなぁ……」
クリスマスに染まったホテルは、煌びやかで、雄大の心とは真逆に楽しそうだった。
雄大はホテルの見取り図を見ながら、頭を回転させた。
(レストラン、割烹料理、どちらにしても個室で始まってるだろうから…)
雄大の背中がズドンと重くなった。
(乗り込んで行って、成康さんが喜んでくれるもは限らない。どちらかと言うと、迷惑がられる確率の方が高い。。)
雄大はぎゅっと拳を握った。
でも…それでも…今を諦めたら、もう一生、諦めきれない僕が付いてくると思う。
雄大は意を決して、前に進もうと一歩進んだ。
「待て待て待て!!」
「あいって!」
雄大は公衆電話スペースに引っ張られた。
「何ですかぁ!」
「しぃー!声が大きい!」
口を押さえられ、雄大はフガフガとした。
「あれは…」
黒田は舌打ちをしながら、ロビーを見た。
雄大も首を伸ばして見るとクリーム色に水色の帯をした少し体格のいい女性の後ろ姿とえらく顔の大きな紺のスーツを着た男性が見えた。
「…お知り合いですか?」
見上げると黒田の下からの顔がすぐそこだった。
「あれが見合い相手だよ。」
「えっ!?」
薄くて、短い板切れを挟んで、ここでは”恋敵”と呼ばれる人が見えたる。
「じゃあ…成康さんも…」
雄大は前しか見えなかった。
「待て!」
両脇に手を入れ、黒田が雄大を身体でとめた。
「黒田さんが止めろって言ったんでしょう!?」
見上げると黒田は神妙な顔で、ロビーの先を見ていた。
「なんか変な感じだ。」
「??」
雄大もそっと”見合い相手”の方を見つめた。
着物の女性はシュンとして、ソファーに座り、顔のでかいスーツの男性は焦ったようにその周りをちらちらしていた。
周囲の人たちも気の毒そうにその場を見守っている。
「何かあったのか?あっ!!」
「わっ!」
黒田は何を見つけたのか、雄大を右腕で挟み、くるりと壁の方を向いた。
「えぇい!!加藤!電話にも出ない!」
背後で忌々しいセリフを吐き捨てろれた。
(加藤!?)
心拍音が大きくなっていく。
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