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全部分かんない
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「………なぁに?
っていうか……僕をここに連れて帰ったのはあなた?
僕は拓海くんに会いに行かなきゃいけないのに。」
俺は、なんて声をかけたらいいのかも分からず、とりあえず純を見つめることしか出来なかった。
もう、会えるわけないのに。
「………俺、ずっと純に言いたかったんだ。
ごめんな。ほんと、俺は純の気持ち、ちゃんと分かってやれなかった。
分かっていたつもりだったけど、
何も……何も分かっていなかった。」
「…………………………僕も、分かんないよ。
拓海くんが死んじゃった理由も、
あなたのこと何も覚えてないのに、
あなたがこんなに拓海くんに似てるところとか………
もう全部全部、分かんないよ……
僕が生きている意味も、
拓海くんがいなくなった世界で生きる意味も
なんにも、何にもなんにも……分かんない」
その言葉は、ただ静かな部屋に悲しく響いた。
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