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4.嘘なんてつきたくない-3
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ここの所眠れないのも原因だと思う。
身体や心は疲れているのに、寝たくないのだ。その理由は、寝て直ぐに見る悪夢が関係していた。
夢の中で、ユキジはラウルから逃げようと必死に走る。なのに、いつも捕まり、腕を取られてその場に組み敷かれ、無理矢理抱かれる。
そんな夢ばかり見るのだ。
「いつまで続くのかな……」
こんな悪夢。
こんな事なら、こんな仕事引き受けなければよかった。
ただ、壱成と仕事がしたい。
1分でも1秒でも長く一緒にいたい。
ただ、それだけだった。
なのに、現実は壱成を避ける日々。まともに顔も見れない。
もう、どうしたら良いのか分からない。
「大丈夫?」
「え……?」
そんなユキジに、優しい声が掛けられる。
顔を見たら、前に仕事をした事があったスタイリストの三善栄二(ミヨシ エイジ)だった。
三善はユキジの真っ青な顔を見ると、慌ててユキジの側に来てくれた。
「って、大丈夫な顔してないね! 顔真っ青だ! ほら、背中摩るから、出したいもの全部出しな!」
「うっ……すみません……っ……オエッ……」
「焦らず、ゆっくりね」
「ゲホ……ぅ……」
その手は優しく、ユキジを思い遣ってくれているのが伝わって来る。
その優しい手に、ユキジは涙が出た。
「頑張れ」
「すびません……」
ユキジは泣きながら、何度も嘔吐を繰り返し、何度も三善に謝り続けた。
こんな事させてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいで、心から謝るしかできない。
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