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4.嘘なんてつきたくない-6
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何を考えても良い答えなんて出て来ない。
こんなに悩んだ事、今までにない。
ユキジは手に持つ三善から渡されたハンカチをギュッと強く握った。
その手の上に、三善も自身の手を置く。
「好きな人に嫌われるって思うと怖いよね……」
「はい……」
「僕も、今付き合ってる人に嫌われたらって思うと……死ぬ事よりも怖い」
「三善さんも……?」
「うん。僕も、過去に色々あって……そんな自分が嫌いだった。こんな自分、好きになってくれる人なんかいないってずっと思ってたし、誰かと付き合うって事もできないと思ってた……。でもね、一人だけ、たった一人だけ、こんな自分を受け入れてくれた人がいたんだ。だから、その人に嫌われたらって思うと……今も眠れないくらい怖い」
三善はそう言うと、切なく笑う。その言葉が三善にとって本当である事をその表情が物語っていた。
「大大大。壱成は僕の彼氏と同じで、君の全てを受け入れてくれる。もし、壱成が何か言ってきたら、僕と夏で説得してあげるから」
「夏?」
「あ……。僕、今夏って言った?」
「はい……。夏さんってもしかして……」
「そのもしかして。内緒だよ」
「そ、そうだったんですか!」
ユキジは三善の恋人が壱成と同じグループの夏だと初めて知り、驚いた。
でも、三善の恋人が夏だと知って、三善の事が頼もしく感じたユキジは、自然と笑みが溢れてしまう。
「君は一人じゃない。僕や夏、秋幸君や秀野だっている。それに、壱成も。だから、一人で抱え込まないで、助けて欲しい時は手を伸ばすんだよ」
「はい……」
「僕も、できる限り君を守ってあげるから」
「ありがとうございます……」
その言葉にユキジは助けられ、何度も感謝の言葉を述べた。
そして、三善に泣き顔をメイクで整えてもらい、心を落ち着かせ、撮影現場へと戻った。
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