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5.酷すぎるオトコ-2
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ユキジは顔を下に向け、監督の側に向かった。そして、少しだけラウルから距離を取り、怪しまれない程度の距離感で話しを聞く。
「あのね。ラウル君の提案なんだけど」
「え……?」
〝提案〟その言葉に、ユキジの顔色が青くなる。
あの企んだ笑みが、隣でユキジに向かってしているのが見ていなくても分かったのだ。
嫌な予感がする……。
「次のシーンなんだけど、ラウル君がリアリティーを出す為に一肌脱いでも良いって言ってくれたんだ」
「ど、どう言う意味ですか?」
「ほら、次のシーンってキスするシーンでしょ。男同士ってのもあったから、本当にしないでフリだけにしようって話しだったんだけど、ラウル君が本当にした方が良い作品になるって言ってくれたんだ」
「え……」
嘘だ。そう、ユキジは信じたかった。
「最初は一般的なラブストーリーだから、そこをあまり重要視しなくてもいいかなって思ったんだけど、でも、するフリよりも、ガッツリした方が話題性も視聴率も上がるのは確かかなって思ったんだ」
「で、でも……」
「ユキジ君、前にBLの映画出たよね? あの時の演技最高だったから、できなくはないはずだよね?」
「ぼ、僕は……」
できない。そう言おうとした。
でも、隣にいるラウルの視線がそれを言わせないようにしている。
ユキジが言いたい言葉を言った瞬間、ユキジとラウルの関係を言ってしまうよ、と言っていた。
その無言の圧力に、ユキジは何も言えない。
「キスシーンもベッドシーンも、あのエロさをまた出して欲しいんだ。美青年同士の絡み、視聴者も見たいと思うし、僕も見たい。そうだろ? みんな」
その監督の問い掛けに、周りは盛り上がりを見せる。
「見たい」そんな声さえも飛び交う。
「俺はしなくても視聴率は見込めると思いますけど」
そんな中、壱成が腕を組み、そう監督に言った。そして、ユキジとラウルの間に立ち、監督にその根拠を話す。
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