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1.初恋は突然に……-8
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ユキジは声優の職業はなんなのか、もう一度考えた。やはり、マッチしない。どちらかと言うと、ユキジの方が合っていると思う。
根暗で、前髪は長く、下を向きながら歩く。
偏見かもしれないが、ユキジには、そう言うイメージしか無かった。
けれど、男の声はとても良い声だった。この声がテレビから聞けるのかと思うと、ユキジは想像しただけでドキドキしてしまう。
「入学願書の配布日が今日までだったの忘れててさ。慌てて来たんだ。そしたら、あんたが四つん這いでなんか探してるから、そうかなって」
「えっと……」
ユキジはどうしようかと考えた。なんて答えようかと考えた。
考えるほど、相手の男と、まだ一緒にいたいと思った。
そして、答えがスッと出た。
「そ、そうなんだ……ぼっ、僕も…その……その学科に入りたくて……」
「え? そうなのか?」
男は、ユキジが本当に自分が思っていた通りと知り、驚いた顔をした。
まさか、本当に目的が一緒だとは。そう思っている顔だった。
「声優学科?」
「う、うん……。あ、でも…向いてないかな……?」
声は小さいし、覇気もない。
自分自身。こんな自分が声優なんてできるとは思えない。でも、男の言葉は違った。
「いや、良い声してるよ。だって、俺が確信持ったのも、第一声のあんたの声を聞いたからだったし」
「え……?」
「〝あった!〟って、言ってたろ?」
「あ……うん」
「その声聞いて、あ、コイツも俺と同じ夢を持つ人間かもなって思った」
そう言えば。さっきそんな声を出した気がする。
まさか、その声を聞き、確信を得たとは。ユキジは照れてしまい、頬が赤らむ。
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