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2.失恋してもやっぱり好き-1
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祝に恋人ができた事は、本人から聞いた。でも、その前からユキジは祝が少しだけいつもと違う事に気付いていた。
ソワソワしたり、溜息を吐いたり、イライラしたり。こんなにも、祝は気分を表に出す人間だったかなっとユキジは思っていた。
でもそれは、仕事でなにかあったからだと思っていたユキジは、何も触れなかった。
なぜ、そこまで追求しなかったか。それは、その時、祝はBLドラマCDで声をした役を実写でも演じなければならなくなっていたからだ。
祝のルックスは群を抜いていて、画面映えする顔をしている。そういったオファーが今まで来なかった事が不思議なくらいだった。
でも、祝は今まで顔を公にする事はなかった。それは、ユキジも同じで、公表していたのはごく僅かだった。
まさか、初めての顔出しがBLの実写とはユキジも思ってはいなかったけれど、でも、声を担当した役を自分もするのはすごいなと思った。
さすが祝だとその時は思った。
けれど、祝が悩んでいる事がまさか、恋をしているからだとはユキジは思いもしていなくて、祝がユキジに恋人が出来たことを教えてくれた時にその謎が解けた。
(やっぱり……付き合ってたんだ……)
祝がその事を教えてくれたのはその映画の続きがドラマ化され、そのキャストの一人にユキジも選ばれ、一緒に仕事をするようになった時の事だ。
撮影をするに連れ、ユキジの気持ちが祝に気付かれていたらしく、祝はユキジに恋人が今一緒の仕事をしている小童谷秋幸(ヒジヤ アキユキ)だと言ってくれた。
「やっぱりなって……感じだよね……」
ユキジは、祝からその事を聞いたその夜、マンションに帰るとそう呟いた。
それと同時に、祝とキスをする事が嫌で仕方がなくなる。
でも、しなければならない。だって、それがあるから引き受けたみたいな物だ。
下心があるから、こんな難しい仕事を引き受けた。けれどそれは、祝に恋人がいると知らなかったからで、知っていたら引き受ける事なんてなかった。絶対に。
「お似合いだよね……」
秋幸はとてもいい人だった。
こんな自分に話し掛けてくれるし、ちゃんと話しを最後まで聞いてくれて、目を見て話してくれる。
自分に全く自信がないユキジには、それはとても嬉しい事だった。
コンタクトを入れていてもまだ人が苦手なユキジ。でも、秋幸みたいな優しい目をしている人間と話しているのは少しだけ平気だった。
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