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4.冬椰壱成と言う男-2
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小百合は祝の事を意識して見詰めていたのだった。側にいるユキジなんて眼中にはないらしい。
楽屋へと入ってくると、祝の前に行き深々と頭を下げて来る。
「わっ、私昔からアニメが大好きで、オタクなのも売りで活動してて……あのっ……秀野さんの事前から好きで……その……」
小百合は顔を真っ赤に染め、モジモジしながら祝に自分の気持ちを伝えていた。
「初顔出しの映画見て更に好きになって……こうやって一緒のお仕事ができて嬉しいです! 感激です!」
「あ、ありがとう……」
小百合の熱に、祝は呆気にとられる。大人しそうな見た目からは想像もしない熱のある告白だった。
「声も素敵ですけど、顔もほんと、カッコ良いですね! 私、アイドル続けててよかった!」
小百合はニコニコと祝を見詰め、熱烈な告白をまだ続ける。その話しを、ユキジは黙ってただ見守った。
「この間は、Richの冬椰壱成君と仕事したんですけど、壱成君も優しい人で色々と助けて頂いちゃいました。今、共演されてるんですよね?」
「まぁな……」
「絶対に見ますので頑張って下さい!」
そう言って、小百合は部屋から目を輝かせたまま出て行った。
「すごい元気な子だったね……」
「まぁ、元気がないよりはいいんじゃないか」
祝はそう言うと、クスッと笑う。それに釣られ、ユキジも笑ってしまった。
「僕もあれくらい明るい人間だったら、もっと人生違かったかもな……」
「確かに。あの明るさや元気が少しでもお前にあったら、また違った人生だったかもな」
「だよね……」
天真爛漫。そんな人間だったら、こんな風にウジウジしたりしなかっただろう。好きな人には好きだと告げる。そんな人間だったかもしれない。
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