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4.冬椰壱成と言う男-5
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ユキジはその大きさに足が竦む。こんなマンションに、壱成は住んでいるようだ。そう知ると、自分との格差がこの目の前のマンションで突き付けられた気がした。
「うー……行きたくない……」
でも、行かないと言われる。そう分かっているユキジは、嫌々ながら塀のような大きなドアを両手で押す。そして、中に入って行ったが、厳重なオートロックの出入り口に直面する。
ユキジはもう一度メールを開き、内容を見る。そこには部屋番号がちゃんと書いてあった。
「書いてなかったらよかったのに……」
ユキジはそう言いながら、その番号のボタンをゆっくりと押した。
すると、応答は無かったのにガチャッと扉が開いた。壱成はユキジが来ると分かっていたようだ。
ユキジは開いたドアに向かい、真っ直ぐ進み、エレベーターに乗り込んだ。そして、壱成が住む部屋の階の番号のボタンを押したのだった。
「静かなエレベーター……」
こんな静かなエレベーターに乗ったのは初めてだ。中も広く、とても綺麗。さすが売れっ子アイドル。どこもかしこも高そうなマンションだ。
「着いちゃった……」
ユキジはエレベーターを降り、壱成の部屋の前へと立つ。そして、インターホンを押した。
すると、ガチャッガチャッと音がして、女の人が顔を出す。その子はCMで見た事がある女優だった。
「あんた誰よ……」
「え? ぼ、僕は……」
まさか部屋の番号を間違えたのだろうか。ユキジは自身のスマホを開き、もう一度受信箱を開いてメールを確認した。でも、部屋の番号は合っている。
「次はこんなモッサい男とヤるつもり? 壱成、あんた趣旨変えしたの? 枯れちゃったわけ?」
「!?」
ユキジは、綺麗な顔でそんな事を平気で話すその女優に驚いた顔を見せる。
確か、清純派として売ってはいなかっただろうか。なのに、この目の前の女優はそんな言葉が一文字も当てはまらないような言葉と顔をしていた。
「枯れてねーよ」
そんな女優の後ろから、シャワーを浴びましたって顔で壱成が現れた。
ユキジはその壱成を見て更に固まる。
(な、なんでシャワーなんか……)
そして、ハッとなる。この二人の関係性をようやく気付いた。
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