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4.冬椰壱成と言う男-11
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ユキジは顔を逸らし、壱成の胸板を押した。でも、壱成はそのユキジの腰を抱く手を緩める事はしてくれなかった。
逆に、ユキジの目を見たいのか、顔をジッと見詰めてくる。その熱い眼差しが怖い。
「もっと見せろ……」
「や、やだ!」
「隠すな」
「うー……」
ユキジは観念し、逸らした顔を上げた。すると、バチッと壱成の熱い眼差しと重なる。
「なんでこんなに綺麗なのに嫌なんだよ……」
「き、綺麗じゃないですから……こんな目……」
この目のせいで、どれだけ嫌な思いをしてきたか。
母親にも捨てられ、周りの人間からは虐められ、隠す以外になにをすればいいのだ。
隠すからこそ、今の自分がいるのだ。
「キラキラしてて……吸い込まれそうだけどな……」
「そ、そんな事言われても吸い込みませんよ……」
壱成は優しい手つきでユキジの目元を親指で摩った。そのこそばゆさに、ユキジは変にドキドキしてしまう。
「そう思わせるほど美しいって意味だ」
「なっ、なにを言って……」
祝の時と、いや、それ以上のドキドキ感がジワジワと滲んできた。
壱成の言葉一つ一つがユキジの心に小さく、本当に小さく花が咲く。
「カラーコンタクトなんてしない方が良いと思うけどな。勿体ないぞ」
「そ、そんな事言われても……僕はこの目が嫌いなので絶対にしません」
「嫌い? さっきから綺麗じゃないとか嫌だとか。そんなにその目が憎いのか?」
「憎い……?」
そう聞かれ、ユキジは薄れていた母親の顔をぼんやりと思い出す。
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