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5.好きな人とのキス-2
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初めてのキスだったから、こんなにも印象に残っているのか。壱成の事を考える日が日々増えていった。
その殆どが、キスをした時とパスタを作ってくれた時で、印象深い時の事がすぐに浮かぶのだった。
「じゃ、俺とは?」
「え……?」
「俺とのキスはどう思う?」
「どう思うって……?」
「もう一回したいって思う?」
「なっ! なに言い出すんですか!」
突然の話しに、ユキジは顔を真っ赤にして壱成に吠えた。そんなユキジを見て、壱成は意地悪く笑っていた。
「冗談に決まってるだろ」
「そ、そう言う冗談は苦手です」
「じゃ、冗談じゃなかったら?」
「え……?」
「冗談じゃなかったらどうする?」
「ど、どうって……」
その言葉に戸惑いを見せるユキジ。その言葉は冗談なのか、それとも、本心なのか壱成の顔を見ても分からなかったからだ。
揶揄われているのか。もしかして、壱成は自分の事を意識しているのか、なんて考えて我に帰る。前者に決まっている。
「急になに言って……」
「冬椰さん、出番です。準備お願いします!」
「はい」
ユキジが言葉を放っている途中、それを遮るようにスタッフが壱成を呼びに来た。
そのスタッフの声を聞き、壱成椅子から立ち上がり、肩を鳴らしてユキジの横を素通りした。
「意味分かんない……」
ユキジはボソッとそんな言葉を零した。壱成が分からない。何を考えているのか全く分からない。
ユキジは自分の出番が来るまで台本を読み込んだ。そして、あと何ページで祝とキスをするシーンなのかを調べる。でも、調べなければ良かったと後悔した。
上手く進めば、明後日にはその撮影に入るのだ。まだ、気持ちの整理もついていないのに、すぐに来る。
声が出そうになった。嫌だーっと吠えたくなった。
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