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6.気になりだしたら止まらない-11
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祝がとても最低な人間だったら、早く忘れたいと思うだろう。でも、祝は昔と変わらずとても素敵な男だ。
たぶん、秋幸を手にして更にその素敵さも増したはずだ。嫌いになんてなれるはずがない。
でも、前みたいな気持ちになるはずもない。
好きでも、違う好き。それは、恋ではなく、ただの友人としての好き。
「でもなー。お前がアイツをずっと忘れないって思うと腸が煮えくり返りそうになるな……」
「それ、自分のは棚に置いてると同じだけど」
「だろ。俺だけは良くてお前だけは駄目なんて言いたくはない。でも……事実だろ……」
「そうだね、事実だね。たぶん僕は、祝を忘れる事はこれからもずっとできない……でも……」
新しい恋をする事はできる。
それは、とても、とてもとても素敵な事だ。
「そう思うほど、壱成を好きだって思うよ……」
「え……?」
「不思議だね。僕、壱成の事まだそんなに知らないのに……すごく好きだって思うんだ。祝よりも……すごく好き……」
いつからこんなに壱成が自分の中で大きくなっていたのだろう。
好きって言われたから。いや、違う。もっと、もっと前だ。
秋幸の事を好きだと言っていた頃、その不器用な所が愛おしく感じた時があった。その時だとユキジは思った。
その恋に不器用で、でも、それを表に出さないようにしている壱成が可哀想で、僕が知っている壱成とは違うと思った。
もっと、そのままでいてくれたらいいのに。そう、思った。
「僕、秋幸君の前でカッコつけてる壱成よりも、俺様で不器用な壱成の方が良いなって思うんだ……」
強引で、初めてのキスもユキジの意思関係なく奪って、最初はなんて人だと思った。
でも、恋愛になると不器用で、好きな人以外は身体を繋げてもなんとも思っていない、その一途さに惹かれていった。
どこか、自分と似ているとそう思った。でも、ユキジは誰かを祝の代わりにはした事はない。けれど、そんな風に誰かに一途に思われたいと思った事はあった。
「お前……どM?」
「ちっ、違う! そういう事じゃ……」
「分かってるよ。それに、お前ならそう言ってくれると思ってた」
「え……?」
「ありのままの俺を好きだって言ってくれるんじゃないかって思ってた。普通なら、俺の裏の顔を知ったら引くだろ。イメージと違うって……」
たぶん壱成は、そんな事を何度か言われた事があるらしい。表向きはグループのリーダーとして振舞っているが、本性を出すと真逆のような男に変貌する。
口は悪く、憎たらしい。
「でも、お前は俺に向かって来た。アイツの事悪く言うなとか言ってさ……。その時、お前に興味が湧いた」
「え? あ、あの時?」
それは、まだ会って間もない頃だ。まさか、その時だと言われるとは思ってもいなかったユキジは、驚きのあまり大きな目が開く。
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