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6.気になりだしたら止まらない-12
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そんな前から気になっていたなんてこれっぽっちも思ってもいなかった。
「その時はまだお前の事、馬鹿な男だと思ってたけどな」
「ば、馬鹿な男って……」
確かに、好きな人に告白すらできず失恋し、それでもまだ好きでい続けているような男は馬鹿かもしれない。
でもそれは壱成も同じではないだろうか。
「でも、俺と同じだと思った」
「え……?」
「同じ境遇で、告白できずにポッと出の男に取られて……先に側にいたはずなのに……選んで貰えなかった……悲しい男……」
悲しい男。その言葉にズキッと心が痛んだ。壱成も、ユキジと同じくらいの悲しみがその時あったのだと分かったからだ。
「なのに、お前はアイツの代わりを見つけようとはしなかった。俺みたいに……」
そう言って、壱成はユキジの頬を優しく触った。そして、切なく笑う。
「そんなお前がほっとけなかった」
「え……?」
「アイツと共演する事になって、その内容がBLで、しかも、失恋した相手に演技でも失恋するなんて……こんな辛い事って無いって思った。もしかしたら、お前も俺みたいに自暴自棄になるんじゃないかって思った……」
心配だった。そう、壱成は小さく話した。
「でも、お前はそんな事しなかった。俺の事を代わりとして思う事もしなかった。そんなお前がすごいと思った」
「いっ……せい……?」
壱成がユキジの手をギュッと握る。それは痛いくらいの強さだ。
その強さは、その時、壱成がどれだけユキジを心配していたのかを物語っているようだった。
「それと同時に、もし、お前が自暴自棄になって他の男を探し始めたらと思ったら胸が苦しくなって……嫌だと思った……」
「え……?」
「誰にも取られたくない。そう、強く思ったんだ……」
壱成はそう言うと、ユキジの身体を強く抱く。そして、ユキジの耳元に顔を置く。
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