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3.思い掛けない存在-7
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それは、男も知っているからか、ヒロインよりも、ラウルの対面に座るユキジの方をずっと見詰めていた。
「ラウル君は演技とか俳優業は初挑戦だから、壱成君、色々と教えてあげてね」
「……はい」
嫌そうな顔を隠しながら、壱成が返事を返しているのがその声で分かった。
本職が声優なだけあって、ユキジは声に敏感だった。
「えーっと、ラウルデス。ガンバリます。ヨロシクね」
ラウルはそう言ってユキジの方を見た。そして、ニコッと意味深な笑みを送って来る。
(な、なんでこっち見て笑ってるんだろう。あっ、もしかして、僕が共演者だって知って驚いてるのかも!)
こんな奴が共演者なんて嘘だろ。と、笑われているのかもしれない。
ユキジはそう思った。
「あっ! あと、言っておきたいコトある。オレ、ガールもボーイも大好き。どっちもオッケーデース」
「え……?」
その言葉に、会議室は騒ついた。それもそうだ。まさか、この場でそんな発言言われるとは思ってもいない。
そんなラウルに、隣にいる監督が笑い出す。
「ハハハハハッ。良いだろー、このオープンさ。ジェス(ラウルの役名)がいるようだ」
ラウルの発言は監督にとって、とても嬉しい事だったようだ。バイセクシュアルを隠さず、これから共演する人間に恥ずかしげもなく言えるハートの強さ。まさに、ジェスのようだった。
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