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― ドンッ。
「「あ」」
ぶつかった瞬間、千尋は跳ね飛ばされるように地面に転がってしまった。もちろん手にしていたDVDは床に散らばっている。
「い、ってて……」
吹き飛ばされた形になって倒れた千尋は突然襲った痛みに身体を起こすこともできなかったが、幸いすぐにその痛みは引いた。
「うわ、ごめん! ……君、大丈夫?」
相手の男は慌てた声を上げて、千尋の身体を起こすために手を伸ばす。
「あ、いえ、……大丈夫、ですっ……」
その手を遠慮がちに取って、引っ張り起こしてもらう。
軽く服を手で払われながら「すみませんでした」と謝罪の言葉を言うと、彼は首を横に振った。
「あと……はい、これ」
キャップを目深に被った男に手早くまとめられたDVDを手渡されて、あまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にしてから慌てて差し出されたそれを受け取り俯く。
おそらくこの男は少し前まで海外ドラマのコーナーにいた人物だろう。
顔が赤くなったのは、一瞬目があったことも原因であることには千尋は気が付いていない。
「あ、ありがとう……ございました……、ごめんなさいっ!」
全身から火が出そうなくらい身体中が熱い。
そう言ってその場から逃げるように足早に去る。
(よりにもよって……、見られちゃった……)
普通の作品ならともかく、男同士のアダルト作品。
しかし、あのカーテンの向こうに戻る気もなく、他の物を借りる気も起きず。
そのまま貸出カウンターに持っていき、会計を済ませた千尋なのであった。
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