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「……俺、最初あの場所であんたを見たとき、あんたの目にすごく惹かれたんだ」
手にしていたスプーンを置いて、顔を赤らめながら千丈から視線を外すように俯いてしまう。
「それであの場所であんたの名前があるもので借りられるもの全部持って出たところだったんだ。……男が男同士のDVDを持っててどうしようって思って、拾ってもらった時すごく恥ずかしかった……。そしたら外で聞いたらぶつかったのが出てる本人で……なんにも考えられなくなって……」
きっと自分は混乱していて言っていることが若干おかしなことになっている。
そう思った千尋は急に言葉が出なくなり、そのまま黙ってしまった。
そんな彼を見ながら、話が進むうちにいてもたってもいられなくなった千丈は「そんなことない……、そんなことないよ」と千尋の前に移動して跪く。
「俺は千尋クンが俺の事を見つけてくれて、すごく嬉しかったんだよ?」
知らない間に色が白く変わるまでズボンを握り締めていた千尋の手に手を重ねる。
触れられた瞬間、不思議と力が抜けたような気がした千尋。
そんな彼を見てから楽しそうに腕を伸ばし、幸せそうに笑いながら千丈は抱き締めて頭を撫でた。
「うれし、かった……?」
「うん。……大げさに思うかもしれないけど自分が一目ぼれした人が俺を見つけてくれたんだよ? 俺はすごく嬉しかった」
抱きしめて殊更甘い声で微笑みを浮かべる。
レンタルショップでも感じたグリーンシトラスの爽やかな香りが、その時よりもはっきりと千尋の鼻腔を通り過ぎていく。
「俺を見つけてくれてありがとう。千尋クンのこと、大事にするよ」
一度ぎゅっ、と抱きしめて、千尋の頭を撫でる。
「さて! ご飯の邪魔してごめんね? ご飯食べてゆっくりしてってね」
幸せいっぱいな表情で笑った千丈だった。
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