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木蓮の季節
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美しく広がる青い空で、
仕事終わりのまだ少し落ち着かない頭をリセットしようと
貴仁は家の縁側から直接庭へとおり、
手に持っていた珈琲を一口含んだ
少し苦めのそれは口内にその味を走らせると、香りとなって鼻をくすぐる
すると貴仁は、
珈琲の味を堪能しているのか否かと問いたくなるタイミングで
今度はその口へ火の付いた煙草をくわえた
「言えば珈琲ぐらい淹れてあげたのに。」
私が淹れた方が美味しいに決まっているわ
などと得意げな顔をしながら、香奈子が肩越しに現れた。彼の婚約者である
「……あら?いやぁね、木蓮散りそうだわ」
先までの珈琲の話題などなかったように
突然香奈子は、話題を変えると、
貴仁の肩越しに目をおくった。
その視線の先には
庭の端に立つ、少し小さめだが、立派に花を咲かせた白木蓮の木が立っていた
「この間咲いたばかりだろ?早いな、この花の命は」
くゆらせた煙草の煙が風に乗ると木蓮の木を見つけたようにそちらへ流れてみせた
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