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。side忍
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こいつが来るとろくなことがない。
目の前で悠を抱きしめたり頭を撫でたりする雪也に忍は苛立ちを募らせていた。
その上悠も満更でもなさそうに身を委ねているのが気に食わなくてまた苛立ちを募らせる。
俺が触ろうとすると本気で嫌そうな顔をして全てで拒否してくるくせに。
そいつと何が違うんだ、同じ男だろ。
目の前で雪也に抱き締められている悠を改めて見る。
笑ってる。
笑った悠は世界で一番綺麗だと思う。
誰よりも綺麗に柔らかく幸せそうに笑う悠の姿が忍は好きだった。
普段の悠は基本俯いてその綺麗な顔を見せてくれない。
顔を上げていても目が合うこともなければ、ましてや笑顔で楽しそうに話すなんてまず有り得ないことだ。
でも今はどうだろう。
顔を仄かに赤く染め柔らかな笑顔を浮かべて楽しげに話をしている。
忍には向けられることのない姿がそこにはあった。
雪也がリビングを出ていき二人きりになれば、悠はまた俯いてしまった。
「随分楽しそうにしてたね」
「…うん、」
「俺といる時より生き生きしてたしね」
「…、」
「それに、」
笑ってた。
そう言おうとして、黙った。
こんなこと言えば俺が悠を恋でもしているみたいじゃないか。
それで俺は雪也に嫉妬でもしているかのようだ。
違う、これは只の独占欲だ。
俺の物がほかに懐くから、俺に懐いていれば可愛がってやるのに。愛してやるのに。
だからそんなことはないんだ。
忍は心の奥底にある感情の正体に気付かないふりをして隠した。
「なんでもないよ。」
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