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想い
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【side温和】
会社勤めを始めてから千との時間がなかなかとれない。
「温和」
「はい。なんでしょうか?社長」
「最近、千之助とは会ってないようだが…」
千の行動は報告されているんだろう。
「そうですね。時間が取れませんので」
思っていても仕事を減らしてくれとは言えない。
「ですが、今度の連休は千之助様をお連れして一緒に出掛けますので…楽しみです」
俺はすでにOKが出たことをさらに確認の為、話した。
「そうだったな。千之助も楽しみにしているよ。お前を気にいっているからな」
「嬉しいです。私はいつまでも千之助様をお守りするつもりですから」
「そうか。それは安心だ」
そう話す社長は、優しい父親の顔をしていた。
「俺はいつも寂しい思いをさせていたからな、…千之助を頼む」
そう言うとまた仕事に戻って行った。
確かに社長は多忙で千は寂しい思いをしたかも知れないが、その愛情はちゃんと伝わっている気がした。兄の淳之助も千を大切にしている。
愛されて育ったからこそ、千はあんなに素直で優しいのだ。
俺も仕事に戻り、手元の資料を片付けていく。
しかし…何でこんなに仕事が回ってくるんだ?やっても次々と回ってくる。
仕事に集中していたら
「鏡さん」
と俺を呼ぶ女性社員の声が聞こえた。
「はい。何ですか?」
「専務がお呼びです」
専務?淳之助様が?
俺は手を止め、専務室を訪れた。
コンコンコン
「はい」
「鏡です。失礼します」
中に入るとそこにいたのは孝哉だった。
「孝哉?専務は?」
「あ~今、いねんだ。居るのは俺一人」
「そうか。ではまた後で伺うと言っておいてくれ」
俺が退出しようとすると、孝哉が止める。
「なんだ?」
「お前を呼んだのは淳じゃねーんだ。俺」
「お前が?なんだ?」
「まぁ座れよ。ちょっと話しよーぜ」
俺は不思議に思いつつ、孝哉の前に座った。
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