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未来への一歩2
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「千、俺はただ口約束で言ったわけじゃない。ちゃんと千とのことを考えてる。 だけどね、千にはちゃんと夢があるだろ?千之助の夢を俺も応援したいんだ。だから千には自分の好きなように生きて欲しい。俺の為じゃなく自分の為に頑張って欲しいんだよ」
俺の為に…
「でも会えなくなるんだよ。温和はそれでもいいの?」
腕の中でもう一度問いかける。
「もちろん、会えなくなるのは困るね。
だからね、千之助のことでは俺もワガママだから、もし千が受け入れてくれるならこの中から行きたい所を見つけて欲しい」
資料を指差し、温和が微笑む。
「この中から選んでも離れるのは一緒でしょ?」
そう問いかければ、キスをされた。
「HANABISIには海外支社もあるんだ。 まぁ東京の大学なら自宅から通うことになると思うけど、県外や海外からはさすがに通えないからね。独り暮らしになる。でもやっぱり心配だから、俺が傍でお世話をすると申し出ようと思ってた。最終的に決めるのは千之助と社長になるから絶対そうなるとは言い切れないけど…」
「じゃあ、一緒に暮らせるかもしれないの?」
「そぅ、早ければ再来年には叶うかな」
温和の腕の力強さが俺との未来をちゃんと考えてくれているのだと証明してくれた。
「温和!! ごめんなさい。 俺、ひどいこと言って。
温和はちゃんと考えてくれてたのに、俺一人でショック受けて困らせて…すごくガキで」
本当に情けない
「いや、突然だったから。 もっときちんと説明すれば良かったよな。
でもさっき言ったように、千之助の行きたい所でいいんだ。 千の傍にいたいのは俺だから、俺が千と一緒にいれるように考えるから」
本当に温和は俺に甘い
「でも温和はいいの?仕事変わるの大変でしょ。父さんも温和のこと期待してるって言ってたよ」
「大丈夫。 俺はね、千と会うまで自分のやりたいことも、どうしても欲しいものもなかった。今までは生活にも満足していたしね。でも千と出会って、千之助の幸せが俺の願いになった。今は俺が幸せにしたい。
千が幸せだと感じてくれるなら、俺も幸せだよ」
「温和…」
早く、早く大人になりたい
温和を助けてあげられるくらいに。 せめて温和の負担にならないように…
「ゆっくり考えればいいよ。 さっ、体が冷えてる。暖めてあげるからおいで」
布団に導かれ、抱きしめられると温かくて、また眠気がやって来た。
「温和…大好き」
温和の胸に顔を埋め、目を瞑ると意識がなくなっていくのを感じる。
「おやすみ、千之助。 愛してるよ」
そう囁かれたのを最後に、俺は意識を手放した。
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