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番外編4
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ぼんやり、昔のことを思い出していると
「千之助様は本当に優しく立派に成長された…」
と、榊原が感慨深げに呟く。
「そうだな…いつも我慢して、周りに気を使って、自分を殺してしまう千之助様が心配だったが…温和のお陰で、今は本当に幸せそうだ」
「君が執事を辞めた時は心配したけどね。千之助様がこの屋敷でも自分を殺してしまうのではないかと…でも、君の人選に間違いはなかった。
まさか、二人が特別な関係になるとは思ってもみなかったけど…でも、彼なら安心はしてる。
執事の時から、千之助様を、とても大切にしていたよ」
「そうか…そこに千之助様も、惹かれたのかもしれないね」
クスッ 突然、榊原が笑った。
「どうしたんだい?」
「いや…この前、温和くんと旅行に行った、とお土産を買って来てくれただろう?《私なんかに買って来なくてもいいんですよ》って言ったら、もじもじして…
《買ったのは、温和なんだ。俺が、見てたら欲しかったら買ってもいいって。温和はいつも俺を甘やかすから、俺、どんどん甘えん坊で我が儘になって困る》って…
私の知ってる温和くんのイメージとは、随分、違っていてね。執事の時は、大切にはしていたけど、あくまで執事としてだったから…
あの、千之助様がそこまで言うんだから、相当、千之助様に甘いんだろうね」
「そうなのかい?子どもの時から知ってはいるが、温和はいつもどこか冷めてたから…私には想像ができないな…」
「千之助様が甘えているのが、何よりの証拠さ」
「確かに…以前の千之助様では見られなかった表情や、言動をしてるね。
はぁ…もっと私達にも、甘えて下さればいいのに…」
「それは焼きもちかい?」
「可愛い娘を彼氏に取られた気分だよ。君もだろ?」
俺が、笑うと榊原も微笑む。
「いつまでも笑っていて、下さるといいな…」
「あぁ…」
大好きな千之助様。私達の願いはたった一つ。
『貴方が幸せであること』なのですよ。
ずっとずっと…
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