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クリスマス28
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【side淳之助】
千と孝哉が隣の部屋に移り、俺は単刀直入に温和に聞いた。
「俺はね、千が辛い想いをするのは嫌なんだ。君はこれから、どうするつもりだい?」
ソファに向かい合うように座り、温和の顔を見る。俺の質問にも動じることなく、静かに俺を見つめていた。
「どう。とは?」
「社会で、同性愛者の差別は大きい。君は優秀だし、もっと素敵な人がいると思う。千もまだまだ、色んな人と出会えるだろうしね」
「それは、《別れろ》とおっしゃっているのですか?」
温和の目付きが鋭くなった。
「俺は、君の覚悟を知りたいんだ。
もし、この先、父さんに二人のことが知れたらどうなる?君は間違いなくクビだし、世界のHANABISHI相手だ。もしかしたら社会で、真っ当な仕事に就けなくなってしまうかも知れないよ」
「わかっています」
目を反らさず、俺を見つめる温和。
「それを考えない訳ではありません。ですが…千から離れることは、考えられません。
私だって、只、手を拱いて引き裂かれるのを、待つ訳にはいきませんからね」
一度目を伏せ、俺を見る
「その時は、容赦はしませんよ」
ニヤリと笑う。
確かに、温和のことだ。裏で何かを考えてはいるのだろう。
《千のことでは、人格が替わる》
そう言った孝哉の言葉が甦る。
瞳の奥に、温和の覚悟が見えた気がした。
おもしろい…
「怖いね…やっぱり君は優秀だな…」
笑みが溢れる。
「千を泣かせたら承知しないよ」
俺が言えば、肩を竦めて
「でしたら、もう少し仕事を減らして頂けると助かります。千が不安になりますので…」
まぁ確かに、あの量は多かったかもしれない。
「でもね、今まで可愛がってきた弟を、急に取られたんだよ。意地悪もしたくなるだろ?」
おどけて言えば、
「気持ちはわかりますが…」
と苦笑いを返された。
「すみません。ちょっと、失礼します」
と急に温和が立ち上がり、隣の部屋に向う。
んっ?何かあったかな?
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