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K01 : 熱の入江 34
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「ん、あ……ッ」
胸の突起をそっと舐められて、急に与えられた敏感な部分への愛撫に声が漏れる。
そのまま口に含まれて舌先で緩く転がされれば、高めるだけ高められて放ったらかしにされた半身の先端からまた先走りがとろりと溢れ出す。
小さな水音を立てながら何度も吸い上げられて、その度に水揚げされた魚みたいに身体がビクビクと跳ね上がって。そんな小さな刺激に翻弄されて、自分の中で大きくぶれてる針がもう振り切れそうになってる。
「や、ん……、あっ」
かぶりを振りながら訴えても、多田さんはお構いなしにそこを攻め立てる。それは俺が本当は拒絶してないことをちゃんと知ってるからだ。
もっと欲しいし、もっと求められたい。そして、自分がどれだけ欲されているか、この人はもうわかってる。わかってて焦らしてるんだから、趣味が悪い。
小さく甘噛みされながらもう片方の頂きを指で摘まむように捏ねられて、ビリビリと電気が走ったみたいに身体が震えた。
「あっ、そこ、や……っ」
身体はどうしようもなく淫らに感じてて、もう果てる寸前まで来てるのに、そこに辿り着くまであと少しだけ足りない。
だから俺は、足りないものを貪欲にねだる。
「キス……したい……」
喘ぎ混じりにそう訴えながら、筋肉が硬く張った腕に手を掛けて引く。次の瞬間には、胸元から唇を離した多田さんの顔が俺の鼻先の距離まで近づいてた。
「多田さん……」
腕を伸ばしてその身体を抱きしめながら名前を呼ぶ。
早く欲しい、もっと欲しい。でも、性急過ぎるのはもったいない。
欲しいものはもうこの手の中にある。だったら、ゆっくりと味わいたい。
せめぎ合う感覚に翻弄されながら、2人で汗ばむ額をくっつけて見つめ合う。
視線が絡み合って、そこには熱で蕩けた甘い空間が生まれる。
多田さんは、俺の瞳を覗き込んだままおもむろに口を開いた。
「楓くんに黙ってたことが2つあるんだ」
そう言って、子どもが内緒にしてた悪戯を告白するみたいな、罰が悪いけど少し悦んでる、そんな微笑みを見せる。
「ひとつはね、俺も楓くんと同じ。人を好きになるのに性別は関係ないと思ってる」
焦らされて疼く身体の奥も、籠る熱を逃そうと汗ばむ肌も、この人に与えられる感覚の全てが俺には心地よくて。
浅い呼吸を繰り返しながら、俺は多田さんの唇が奏でる低く艶やかな囁きにうっとりと耳を澄ます。
「もうひとつは?」
そう促せば、その双眸が甘い光を滲ませてゆらりと煌めく。
深い琥珀色の瞳は、穏やかで優しい色合いをしてる。
「初めて逢ったときから、なんてきれいな子なんだろうって思ってた。かわいくて、自分に素直で、表情が豊かで。気がつけば、目を奪われていて」
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