アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
K01 : 熱の入江 44
-
揺さぶられたままの身体の中を毒のように廻るのは、神経を灼き切るほどに強い、麻薬のような快楽。
「あ、ん…ぁ……! あ……っ」
熱くて熱くて堪らなくて、このまま融けてしまいそうだ。
本気でそう思うぐらい、与えられる感覚は目まぐるしい速度で俺を蝕んでいく。
みっともないとかそんなことを考える余裕さえなくて、もう何もかもを投げ出してただひたすらにその感覚を貪ってた。
「あ……ッ、多田さ…、はや、く……っ」
もうこれ以上受け容れるのは無理だった。何かがすぐそこまで来てる。溢れてくる何かに今にも流されそうで、爪の痕が付くぐらい強くしがみついて必死に訴えれば、切羽詰まった声に応えるかのように多田さんが角度を変えて俺を突き上げた。
「 ─── ん、ああ、あッ」
1番弱いところを抉るように穿たれて、ひときわ大きな声が零れる。
身体も心も、俺の全部が多田さんでいっぱいになっていく。
とうに限界を超えてる身体がぶるりと大きく震えて、小刻みに痙攣し出した。
「あぁ、あ、イク……ッ!」
振り落とされたくなくて必死に抱きついていたはずなのに、頂点からふわりと下降してしまう。
強く絞り込むように中が縮まって、意思とは無関係に弛緩と収縮を繰り返す。
何度も声を漏らしながら、俺は溜め込んだ欲を解放していく。
「 ─── っ」
耳元で多田さんが小さく呻く声がして、中に熱が放たれる感触がした。
ゆっくりと覆い被さってくる身体の重みが、心地よくて。
今まで感じたことがないぐらいに何もかもが気持ちよくて、朦朧としてくる。
浅い呼吸を繰り返す度に、波に浮かぶ小舟のように意識はゆらゆらと揺れる。
うっすらと目を開ければ俺の顔をじっと覗き込むふたつの瞳が見えた。
すごく優しくて、だけど少し困惑したような、悲しげな琥珀色。
ああ、そんな瞳で見ないで。
俺は1ミリも後悔なんてしてないよ。
でも多田さんは、もしかしたらそうじゃないのかな。
胸が痛くなってゆっくりと視線を逸らせば、閉ざされたラブホテルの窓が目に入った。
いつもは景色が見えないのが好きじゃないのに、今はそれが俺をすごく安心させる。
─── 大丈夫だよ、多田さん。誰も見てないから。
熱い身体を持て余しながら呼吸を整えていくうちに、視界は狭まり闇に閉ざされる。
そこでとうとう俺の意識はふつりと途切れてしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
48 / 104