アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
K02 : 春の海 Lacus Veris 16.5° S ;86.1° W 396 km
-
『なんだ、楓。彼氏できたの?』
耳元であからさまに響くガッカリした声に、ちょっと笑ってしまう。
こうやって同じことを説明するのは何人目だろう。彼氏ができる度に同じことの繰り返し。こういうとき、俺って結構セフレいるのかもなあなんて実感する。数えたこともないからよくわかんないけど。
同じ学部でよく俺と一緒にいる涼平は、『楓のセフレネットワークは複雑』なんて言って茶化すけど、そもそも俺の中でセフレのボーダーは随分曖昧だ。昔はよくエッチしてたけど最近してない人。不定期でエッチする人。数える程しかしてない人。どこからがセフレでどこからがそうじゃないんだろう。正直なところ、楽しくて気持ちよければ何でもいいと思う。
だけどそういう適当な関係で繋がった人たちからの連絡も、この2ヶ月ほど捌いていくうちに随分減ってきてた。
そんなわけで俺は今も、前のバイト先で一緒に働いてた元上司からの誘いを断ってる。
「そういうこと。だから、ごめんね」
『いいよ。彼氏と別れたら連絡して。待ってる』
甘い囁きに、最後にこの人とエッチしたのっていつだっけ、なんて考えてしまうけど、はっきりと思い出せない。思い出せないけど数ヶ月に一度、会う度にエッチしてたのは憶えてる。
そういえばこの人も奥さんいたよね、なんて思う。その程度の薄い関係。
彼氏と別れたら、ね。
そんな言葉にチクリと胸を刺激されながら、俺は明るく笑って答える。
「うん、わかった。じゃあね」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
52 / 104