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K02 : 春の海 4
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涼平に掛かれば不倫だって軽くなる。相手が結婚してることも、レンアイのスパイスに過ぎない。
こうしてキャンパスを歩いてるだけで、擦れ違うかわいい女の子たちが次々と涼平に手を振っていく。涼平は、きっと歩く恋の探知機なんだ。
愛想を振りまくのに余念のない涼平の口から、軽い言葉がこぼれだす。
「俺、別に人妻が嫌いってわけじゃないよ。いい感じに飢えててガッツいてくるとこはかわいいと思う。ただ、それがいつもだとね。たまにエッチするぐらいがちょうどいいっていうか」
でも、俺が人妻と聞いて真っ先に思い浮かべてしまうのは、会ったこともないあの人の奥さん。
どう考えたって、社会通念上は愛人の俺が悪いんだってわかってる。それでも、俺の知らないところで好きな人が奥さんと仲睦まじくしてるところを想像するのは、やっぱり気分のいいことじゃなかった。
あの優しい声も、情熱的な眼差しも、俺だけのものじゃなくて。きっと奥さんにだって向けられてる。
いちいち訊いたこともないけど、もちろんエッチもしてるんだろう。それは別に仕方ない。後からちょっかいを掛けたのは俺だから。
「 ─── あ」
涼平が素っ頓狂な声をあげる。前の方から歩いてくるのは、講義こそ取ってないけれど俺も知ってる教授だった。
美桜ちゃんはもうとっくに気づいていたんだろう。まっすぐに前を見据えて、すれ違う直前に口を開く。
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