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K02 : 春の海 25
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「………何それ。友達でもないのに」
「友達じゃなくても遊びに行けるよね。俺、友達なんてほとんどいないし。あー、セフレならいっぱいいるんだけど」
俺の言葉に、愁くんはぽかんと口を開ける。
「あ、今は会ってないよ。ちゃんと彼氏がいるから」
「彼氏?」
「ん。まあ、向こうはそうは思ってないかも。でも俺にとっては恋人だからね」
向こうにとっては恋人じゃなくて愛人なんだけど。という一言は一応呑み込んでおいたんだけど、愁くんにとってはあんまり大差なかったのかもしれない。
「………その人、男?」
ぽかんとした顔がおかしくて、俺はつい笑ってしまう。
「そう」
パチパチと長い睫毛が何度も上下する。ようやく俺の言葉を受け入れてどうにか真顔に戻った愁くんは、目を伏せてポツリと漏らした。
「でも俺、別にそういうのいい」
「外に出るのも授業のうちってこと。すぐじゃなくていいよ。もっと慣れてからでもね」
強引過ぎるのかもしれないけど。俺はこの子を無性に連れ出したいと思ったし、それができるのって俺だけなんじゃないかという気がした。
「この授業が終わったら、連絡先交換しよっか。携帯持ってるよね?」
「……先生って、やっぱり変わってる」
ポツリとそう漏らして、愁くんは再び机に向かう。ほんのり赤くなったきれいな輪郭の横顔を、俺はワクワクした気持ちで眺めていた。
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