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K02 : 春の海 29
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趣味とか、好きなこととか。蒼ちゃんからこれといったこだわりを聞いたことがない。高校の時、成績はよかったけど順位なんて気にしてるような感じじゃなかったし、蒼ちゃんはポジションにしがみつかない。相対評価に興味はないんだと言ってるのを聞いたことがある。
俺が時々連絡を取ってるからこうして繋がってるけど、疎通になればきっとそのまま会うこともないし、それに対して蒼ちゃんがどうこう思うこともない気がする。
そんな調子だから蒼ちゃんは友達にも勿論淡白だけど、恋愛となると特にそうだ。彼女と付き合ってもはしゃいだりしないし、別れたってこれといって悲しむわけじゃない。少なくとも傍目には何も変わらない。そもそも、何かに必死になってる蒼ちゃんを俺は知らない。
蒼ちゃんが熱くなってるところが見てみたい。だけど想像がつかないな、なんて思う。
「じゃあさ、それはもういいから。その代わり、蒼ちゃんが引っ越して落ち着いたら、遊びに行っていい? 一緒に家呑みとかしよう」
いかにも譲歩したみたいにそんなことを言ってみれば、蒼ちゃんは小さく溜息をついて微笑みを浮かべた。
「うん、いいよ。おいで」
「本当? 楽しみにしてるね! あ、彼女が来るときは避けるから。遠慮しないでちゃんと言ってくれればいいし」
そう言わないと、俺が押し掛ければ蒼ちゃんは彼女が家にいたってお構いなしに招き入れかねない。
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