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K02 : 春の海 35
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見た目は結構呑めそうな感じがするのに、そういう一面はちょっと意外だなと思う。
俺はここから歩いて家まで帰るけど、蒼ちゃんの家は電車で2駅離れたところにある。近いような遠いような微妙な距離だ。
今までは自転車でも気軽に会いに行けたけど、これからはもっと遠くなる。
電車で2時間掛かるか掛からないかの距離は、大したことはないってわかってる。今までだってしょっちゅう会ってたわけじゃなくて、この引越しで何かが劇的に変わることもない。それでも俺はやっぱり蒼ちゃんと離れてしまうことが淋しくて仕方なかった。
「蒼ちゃん。1人暮らしが始まったら、本当に会いに行って大丈夫?」
向かい合ってそう尋ねれば、蒼ちゃんは軽く微笑みながら頷いてくれる。
「大丈夫だって。変な気遣いするなよ」
その言葉に安心して、俺も笑顔を返すことができた。
「駅の方まで一緒に歩こうよ。俺も大通りから帰るし」
どちらからともなく足を踏み出して、肩を並べながら穏やかな夜の街をゆっくりと歩いていく。
俺の友達は、蒼ちゃんだけだ。
大学で仲のいい美桜ちゃんや涼平は、友達じゃなくて仲間とか同志とかいう方がしっくりくる感じがする。
他の人との決定的な違いは、蒼ちゃんは俺にとってエッチする対象じゃないってことだ。
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