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K02 : 春の海 39
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さらりとそんなことが言えるこの人のそういうところも好きだ。だって、こんな一言で単純な俺はすっかり浮かれちゃってる。
シートベルトを締めると車が滑るように発進した。幹線道路が緩くカーヴを描いていく。
「俺もすごく会いたいって思ってたよ。同じだね」
軽い言葉を口にすれば、遥人さんは俺に視線を流しながら口元に笑みを浮かべる。余裕のある大人の微笑みにドクンと心臓が大きな音を立てた。
「かわいいことを言うね」
そう言って、また視線を前に向ける。その整った横顔に俺はじっと見入ってしまう。
運転席から仄かに漂ってくる遥人さんの匂いで想い出すのは、エッチをしたときの快感やぬくもり。ちょっと想像するだけで、もう身体がゾクゾクしてくる。
俺にはこういうのがちょうどいい。おいしいところだけを掬って愉しめるような関係。夜の街をいつもより少しスピードを上げて駆け抜ける、日常からほんの少し離れたところにあるレンアイ。
ステアリングを滑らかに切る手の動きについ見惚れる。骨ばってるわけでもなくて、だけどしっかりとしたきれいな手だ。
フロントガラスの向こうに広がる見慣れた街並みも、この人と一緒だと新鮮な感じがする。あまりにもいつもと違う景色に見えるから、思わず何度か瞬きをしてみた。特殊なフィルターが掛かってるみたいに、この夜はキラキラしてる。
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