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K00 : prologue 4
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『別に、取らなくていいよ』
こんな関係になったばかりの頃、薬指に嵌められた指輪を外してきたこの人にそう言ったのは俺なのに。
だって、これがなくなったって遥人さんが結婚してる事実は変わらないから。
「……俺ね、多田さんとエッチするの、大好き」
そう言って笑えば、遥人さんは俺を引き寄せて唇を寄せながら囁いてくれる。
「俺も楓が好きだよ」
例えば、俺が奥さんよりも早く遥人さんと出逢えてたら。
遥人さんは俺のことだけを好きでいてくれて、奥さんとは当然結婚することもなくて。
俺は遥人さんを独り占めにすることができたのかな。
何度自問したかわからない不毛な仮定を振り払いたくて、俺は遥人さんの下半身に手を持っていく。
ちょっと大きくなってきてるそこを握りしめると、意志を持った生き物みたいにピクリと動いた。
緩く扱き上げながら、上目遣いに笑い掛ける。
「ね、もっかいしよ?」
溺れてるっていう自覚はある。それがこの人の身体になのか、この人自身になのかが俺の中ではもう曖昧になってる。
肌を合わせれば、そんなのはどうでもよくなる。
遥人さんとのセックスはめちゃくちゃ気持ちいい。それはすごく嬉しいことなのに、なぜかちょっと悲しい。
誰も見てないと思って窓の外に目をやれば、満月に近い形をした月が淫らなことをする俺たちを見下ろしてた。
明日には満月になる月だ。
遥人さんに対する気持ちがいつの間にかあの月のように満ちていってることに、俺は気づかないふりをする。
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